略称:狭山人権の会

狭山事件と人権を考える茨城の会





 狭山事件は部落差別を徹底的に使った差別事件であることは、「狭山事件と部落差別」のページでくわしく見ました。
 狭山事件について訴えるとき、「茨城県でも部落差別があるの?」「今でも部落差別があるの?」という質問を受けることが多くあります。そこで、県内の部落解放運動団体に協力をいただき、茨城県の部落差別の現状について記したいと思います。

1,茨城県内で起きている部落差別事件(最近の10年以内)
2,茨城県、土浦市、守谷市の住民意識調査から
3,生活実態における部落差別の現状






 1,茨城県内で起きた部落差別事件(最近の10年以内)

■石岡市
 石岡市の一般地区の女性Aは、市内の部落出身のBさん(女性)と知り合いで、Bさんはその知り合いを自分の車で自宅に送っていった。家に上がり、Bさんが、現在は空き家になっている家のことを話し始めると、Aは「あそこはカーボだよな。あの家の嫁さんもカーボから来たんだよ。○○さんちも△△さんちもカーボだよ」と発言した。
(※「カーボは、部落出身者を指す差別語)
 Bさんは「そんなことを言ったらダメだよ」というのが精一杯で、居ても立ってもいられず、心臓がはち切れるような思いで帰ってきた。
 数日後、この差別発言を確認しに行った団体の役員に対してAは、発言を認め、何の悪びれた様子もなく、「この辺の人は皆知ってるし、皆言ってるよ、何で言っちゃダメなのか」「私はお寺の生まれで何でも知ってるよ。士農工商エタ非人のことも、差別戒名のことも。私の父親は、昔カーボの人たちがお寺の板の間に上がれないのを上がれるようにしてやったんだ。私は人種差別をなくすための先頭に立っているんだよ。差別なんかするわけないじないか」とまくしたてた。
 その内、夫が帰ってきたからか、「あんあたらに言われる筋合いはないよ」と言うと、サッシをぴしゃりと閉めて、二度と顔を出そうとしなかった。

 Bさんは、結婚差別を受けながらでも、我慢に我慢を重ねて、縁があった一般地区男性と結婚した。それで同和地区の苗字から夫の苗字に変わっていたので、AはBさんが部落出身と知らず、一般地区出身と思ってこのような差別発言を平気でしたと思われる。

■土浦市
 土浦市役所職員のAの妻は、部落出身者のBさんなどについて、周りの人たちに「あの人は同和の人だから気をつけた方がいいよ」と注意していた。これはBさんの母親のところで、ある人が、この差別発言について何気なくお茶のみ話で話して発覚した。
 差別の対象となったBさんは次男だが、長男も部落差別によって離婚している。
 当初、Aの発言だと思われたのでた当人に確認したところ、「そんなことは言っていない」と完全に否定していた。しかし話し合う内に、Aが仕事を終えて家に帰ってから、「同和の人が市役所に来た、困った連中で恐怖を覚える」というような話を妻にしたので、そのような話を聞かされた奥さんが、自分の周りの人たちに「あの人は同和の人だから気をつけた方がいいよ」と話していたことが明らかになった。
  Aは、反省し、今回の事件を肝に銘じて、差別をなくすために全力で頑張ると表明した。

■境町
・葬式の時に、部落出身の女性は、男性の親戚や関係者が「お前は来るな」と言われ、結局離婚した。
・方位を見る占いをやっている人が、「あの方角からは嫁をもらわない方がいいよ」と言った。どうしてかと聞くと、「あっちは同和地区だからな」と発言した。

■結城市
 部落出身の男性に向かって、妻の親元が葬式の時に「花輪は上げないでくれ。名前で親戚に(部落と)分かると困る」と発言した。

■つくばみらい市(旧伊奈町)
・葬式の時に、部落出身の女性は、男性の親戚や関係者が「お前は来るな」と言われ、別の場所で一人時間をつぶさなければならなかった。
・会社内で、部落出身の女性に対して一般地区の同僚が、「だれか嫁さんいないかな。カボじゃなければどんな人でもいいよ」と差別発言した。

■下妻市(旧千代川村)
 会社の同僚が「あの人は同和だから、付き合わない方がいいよ」と会社内で発言した。部落出身のAさんは、結果、会社に居ずらくなり、離職せざるを得なかった。

■常総市(旧水海道市)
 会社の中で、何度も「あの人は同和だよ」とひそひそ話をされ、いやな思いをしていた。忘年会の時に料理屋のバスで送迎されることになったが、「あなたは自分の車で行ってね」といやがらせもされた。一年間で15キロもやせてしまい、悩んだ末、結局会社をやめた。

■岩井市
 部落出身の女性は一般地区の男性と結婚し、2人の子どももできた。15年も経って部落と分かってから、夫は「おまえは同和のくせに」と差別発言するようになり、殴る蹴るの暴行も行うようになった。結局離婚したが、子どもとはいまだに会わせてもらえない。

■取手市(旧藤代町)
 部落出身の女性は一般地区の男性と結婚したが、結婚後に男性の親が身元調査をして、部落であることが分かった。結婚から5年経って、離婚調停となっている。

■稲敷市(旧江戸崎町)
 部落出身の女性は一般地区の男性と同棲していて、妊娠8ヶ月だった。しかし部落出身であることが分かると、突然男性から別れ話が持ち出され、結果、未婚の母となった。

■守谷市
・飲食店を経営する部落出身の女性に対して、客が「カーボ、アマ」と差別発言をくり返した。
・市内の不動産屋が、家を新築するために訪れた部落出身のお客に対して、「同和地区なら安い土地があるよ」と差別発言した。

■八千代町
 部落出身男性は一般地区の女性の恋人がいたが、その友人が「あの人は同和だから付き合わない方がいいよ」と差別的な忠告をした。

■団体の事務所への手紙
・「…酒の席ですがびっくりするような話を聞きました。水戸市○○公民館の館長が、『俺は●●に住んでいるがカーボではない。カーボの苗字は□□、□□だ』などと話している。いくら酒の席といってもひどい、信じられない気持ちがしました」

・「JA常総ひかり○○課の●●の事です。家畜ト場の、あれはカボだとかこれだとか、平気で言っているので、しゃくでどうしようもないです。注意していただきたいのです。私もト場へ行って居ます」


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 2,茨城県、土浦市、守谷市の住民意識調査から

 (作成中)


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 3,生活実態における部落差別の現状

 (作成中)

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