略称:狭山人権の会
2018年11月22日 更新

狭山事件と人権を考える茨城の会

 

最新ニュース



●ネット署名の東京高裁 提出行動に参加を

2019年1月22日


 狭山人権の会では、この間インターネットを通じて狭山事件の再審開始を求める署名を集めてきました。それを東京高裁に提出しながら、直接要請する行動を下記のように取り組みます。ぜひご参加ください。

★狭山署名提出・東京高裁要請行動


 <集合>
   日時 1月31日(木) 午前10時

   場所 東京弁護士会館 1008号会議室
           東京都千代田区霞が関1−1−3



●学習会を開催しました 本田豊先生〜茨城の部落の歴史

2019年1月22日


  新年、明けましておめでとうございます。

                今年もよろしくお願いします。


 昨年12月22日、本田豊先生を招いての学習会には、35名の市民が参加しました。
 本田豊先生は、昨年『部落はなぜつくられたか 〜茨城県の部落史』を出版されました。県内各地の部落がいつごろ、どのようにできたのかについて、分かりやすく話してくれました。
 「茨城県では、各市町村史を見ても部落問題については出ていない。ほとんどが削除されていて、歴史をたどるのが非常に困難」ということです。そこで実際に部落に足を運び、墓石などから調査していったということでした。
 そこから判断すると、江戸時代よりもずっと前に成立していた部落が多いことも分かりました。


 部落解放同盟全国連合会茨城県連からは、茨城での解放運動や同和行政の歴史、茨城県内で実際に起きた差別事件について報告がありました。

 狭山事件の背景にある「部落差別。その部落差別そのもののについての学習は初めてでしたが、有意義な学習となりました。











●茨城県の部落の歴史と現状を学ぶ学習会を開催します

2018年11月22日






 狭山事件の「原点」である、部落差別。
 茨城の会では、地元の茨城県の部落問題について学ぶ学習会を開催します。
 講師は、最近『部落はなぜつくられたか 〜茨城県の部落史』を書かれた本田豊さん。本田さんは、元東京都立大学講師で歴史研究家。東北や北陸も含めて、全国の被差別部落を歩きいて部落史を研究されていることで有名です。
 ぜひご参加下さい。

  〇期 日  12月22日(土) 午後2時
  〇場 所  亀城(きじょう)プラザ   土浦市中央2−16−4
  〇参加費  500円(学生無料)
  〇内 容  ・本田豊さんの講演 「茨城県の部落史」
       ・茨城県の部落差別の現状報告(部落解放同盟全国連 茨城県連)




●『部落はなぜつくられたか〜茨城県の部落史』が刊行されました

2018年11月22日







◎茨城県全域を対象にした、初めての部落史の本です。誰にも分かりやすく読めるようにまとめられています。

 申し込みは、上記チラシのFAXまたはメールでお願いします。




●狭山意見広告運動を成功させようー新聞で狭山再審を訴える

2018年2月2日
 
 新聞に、石川一雄さんの無実と事実調べの実施訴える広告を大々的に掲載し、東京高裁に再審開始を迫っていこう、と「狭山意見広告運動」が立ち上げられました。
 呼びかけ人には、『SAYAMA 見えない手錠を外すまで』の金監督、布川事件の桜井昌司さん、facebook「狭山事件の再審を実現しよう」のノジマミカさん、沖縄共同代表の安次富浩さん、反差別国際運動共同代表理事の武者小路公秀さんをはじめ37名がなっており、私たち「狭山事件と人権を考える茨城の会」の新井滄吉代表も名前を連ねています。
 ぜひ広告掲載のカンパをよろしくお願いします。

●掲載時期  2018年5月
●賛同金    1口 1万円(複数人で1口も可能です)
●振替口座  加入者名  狭山意見広告運動
          口座番号  00960−5−211040
          他行からの送金は、〇九九店(099)当座0211040
●しめきり    4月30日







●「99.9%石川さんの筆跡ではない」 新証拠を提出

2018年1月31日



NHKニュース
狭山事件 「脅迫状の筆跡は別人」弁護団が新鑑定提出(1月16日 5時21分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180116/k10011290101000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

 55年前、埼玉県狭山市で女子高校生が殺害された「狭山事件」で、無期懲役が確定した男性の弁護団が、有罪の裏付けとなった脅迫状の筆跡は別人のものだとする新たな鑑定を裁判所に提出しました。男性は再審=裁判のやり直しを求めていて、裁判所の判断が注目されます。

 昭和38年、埼玉県狭山市で女子高校生が殺害された「狭山事件」では、無期懲役が確定し仮釈放された石川一雄さん(79)が再審を求めています。
 当時、被害者の自宅には脅迫状が届き、その筆跡が捜査機関の鑑定で石川さんと同じだとされたことが裁判で有罪の重要な裏付けとなりました。

 石川さんの弁護団は、コンピューターを使って筆跡を鑑定する手法を研究している東海大学の福江潔也教授に改めて鑑定を依頼しました。
 この手法は文字を画像で読み取って線の位置を座標上の数値で表し、形が似ているかどうかを比較するもので、鑑定によりますと、脅迫状の筆跡と石川さんの筆跡は形が大きくずれていて、99.9%の確率で別人のものだと考えられるということです。
 福江教授によりますと、従来の筆跡鑑定は見た目で文字の特徴を比較する手法などが中心だったということで、「今回はコンピューターが客観的に判断したのが最大の違いだ。ずれを見ると別人が書いたと考えなければ不合理だ」と話しています。
 弁護団は15日に東京高等裁判所に鑑定結果を提出したということで、裁判所の判断が注目されます。


□新たな筆跡鑑定とは東海大学の福江潔也教授が研究している筆跡鑑定の手法は、コンピューターで画像を解析する手法を応用したものです。
 福江教授の手法では、個人の筆跡の特徴を把握するため、まず筆跡を鑑定したい文書の中から繰り返し使われている文字を選びます。続いてその文字の画像をコンピューターで読み込み、傾きや大きさをそろえます。文字は直線や曲線の組み合わせで成り立っていますが、その上にコンピューターがいくつもの点を配置します。その点の位置をX軸とY軸の座標で表すことで文字の形を数値化することができます。そして数値を比較することで、文字の形がどの程度異なっているのかを把握することができます。

 福江教授によりますと、同じ人物が書いた場合、数値のずれは一定の幅に収まりますが、ほかの人物が書くと明らかにずれが大きくなるということです。
 「狭山事件」の鑑定では繰り返し使われていたひらがなの「い」「た」「て」「と」の4文字が選ばれ、脅迫状の文字と石川さんが書いた文字を比較した結果、同じ人物ではありえないほど数値がずれていたということです。
 福江教授が作成したデータベースをもとに計算したところ、脅迫状の文字と石川さんが書いた文字が別人のものである確率は、99.9%に達したということです。
                                    https://www3.nhk.or.jp/news/ より全文転載







●石川一雄さんの新年メッセージ

2018年1月31日


全国の狭山支援者の皆々様、明けましておめでとうございます。

 昨年も私なりに精一杯の闘いを展開して参りましたが、期待に反し、再審裁判も適わず、結果的に今年も支援者皆さんにご迷惑、ご心配をおかけすることになってしまい、大変申し訳なく済まない気持ちで一杯です。
 三者協議は34回を重ねましたが、弁護団の正当な証拠開示請求にもかかわらず、検察官は「必要性がない」などと開示に応じようとせず、遅々として重要な証拠の開示が進まぬ現実を直視すれば、或いは検察当局は、私が死ぬのを待っているかの如くさえ感じてしまいます。だとすれば、私は意地でもとことん長生きしようと、常に自分を戒め、言い聞かせ、冤罪を晴らし、完全勝利するまで権力に対峙して参る所存であります。

 弁護団は、下山鑑定にひきつづき、私の無実を示すさまざまな新証拠を提出しており、それによって、年々狭山事件の真相を知って下さる人たちが多くなり、時には集会等に向かうために街頭を歩く私の姿を見て「石川さん応援しています。元気で頑張って下さい」と声をかけて下さる人が多くなり、確実に支援の輪が広がっていることを実感しています。
 加えて政府も部落差別の実態を認め、2016年12月に「部落差別解消推進法」の制定を勝ちとりましたが、法律をどのように具体的に活用していくかが重要であり、人権教育や啓発の重要性も取り上げられている事を鑑みれば、狭山事件への波及効果、運動の推進にも無関係ではないと思われます。
 元より日本国憲法では「基本的人権は侵すことの出来ない永久の権利」であり、「全ての人が個人として尊重」され、「平等権」も明記されていることからも「部落民」として差別すること自体許されるものではありません。

 私は仮出獄後、23年になりました。うれしいことに昨年は全国各地で様々に狭山学習会や、人権学習会が持たれ、また、狭山現調にも多くの人が来て下さり、心の底からうれしく感じました。

 何れにせよ、狭山再審裁判闘争において、新証拠の方は弁護士先生方の英知に委ね、私は不当な扱いをされてきているのは紛れもない事実なので、ただ只管に真実のもとに、公正で納得のいく、事実を証としての裁判を求め、今迄の裁判所の不当な判断を糾弾していく事しかありません。
 その意味からも全国各地で、様々に闘い続けて下さっている支援者各位、また各地から高裁前アピール行動に来て下さっている方たちの存在がどれほど狭山事件の真相普及のために大きな力になり、証拠開示等の実現につながってきたか、人間の善意と正義を求める人が沢山いることに感無量であります。
 私は、これまで絶望の中から少しずつ光の中を歩んできた此処数年の中で温かい心に触れ涙にくれることが多々ありました。最近、自分がすっかり涙脆くなったことを感じます。そしてその反動として「決して負けるもんか」とファイトも与えられて参りました。皆さん方の真摯な長い狭山の闘いが、「今年こそ」と常に私を強く駆り立てて下さったのです。

下 山・川窪両鑑定や森鑑定も弁護団や、支援して下さる皆さん方の弛まぬご努力や調査活動があったお蔭と深く感謝しておりますし、これらを力にして2018年は道が拓けると確信しています。私自身が気を弛めず、司法に対し、真実を究明すべき法廷を開き、事実調べを迫っていけば必ず勝機は見いだせると確信のもとで今年も全力で闘って参る決意でおり、これが最後の闘いとの決意で臨んで参りますので、皆さん方も最大限のご協力を下さいますよう切にお願い申し上げます。

 末尾になりましたが、今年も皆様方にとって最良の年になりますよう心から念じつつ年頭にあたり私石川一雄のご挨拶といたします。

  除夜(じょや)の音(ね)に心(こころ)に秘ひめて誓(ちかい)たて
                   55年の今時(こんじ)に懸け(かけ)

2018年1月1日
                                                        石川 一雄




●布川事件の学習会で桜井昌司さんが熱い講演

2017年12月5日



 11月4日、土浦亀城プラザで、布川事件の学習会を行い、30名の市民が参加しました。
 最初に、布川事件のDVD(テレビ番組)を観て事件の経過や全体像を学習しました。その後、桜井昌司さんが講演しました。
 桜井さんは、逮捕されてからウソの「自白」をするまでの厳しい取り調べや、獄中での石川一雄さんとの交流、再審で無罪決定をかちとるまでの たたかいを、熱く話してくれました。また獄中で自ら作った歌も披露してくれました。






 桜井さんが特に強調されたのは、検察による意図的な証拠隠しです。それが裁判に提出されれば間違いなく犯人ではないことが分かる証拠を隠して、無実の人間を何十年も牢獄に入れ人生を台無しにする、そして証拠隠しが明らかになった後も、再審無罪が決まった後も、何の責任も取らない検察。
 いま桜井さんは国家賠償請求の裁判を起こし、まだまだ隠されている証拠の開示を求めてたたかっていますが、検察は「倉庫の近くの川が大雨で氾濫して、証拠はみんな流されてしまった」と主張しているとのことです。本当に開いた口がふさがらない。検察はまったく反省などしていません。(布川事件における証拠隠しについては、以下の当日のレジュメを参照)

 このようなでっち上げの構図は、狭山事件とまったく同じです。私たちは再審に勝利した桜井さんたちのたたかいに大いに学んで、狭山再審の勝利をかちとっていきましょう。






                                     
【当日のレジュメから】


1,事件と裁判の経過

事件の概要
 1967(昭和42)年8月28日、一人暮らしで大工の玉村さん(当時62才)が、茨城県北相馬郡利根町布川の自宅で殺され、8月30日に発見されました。被害者宅内は物色され激しい争いの跡がありました。

虚偽の自白に追い込む捜査
 捜査が難航するなか、茨城県警は「素行不良者」として捜査線上に名前が挙がっていた櫻井昌司さん(当時20歳)をズボン1本を盗んだという窃盗事件で10月10日に、杉山卓男さん(当時21歳)を、知人を殴ったという暴力行為事件で10月16日に、それぞれ別件逮捕しました。そして殺人事件の犯人として厳しい取り調べが始まりました。

 実は櫻井さんにも杉山さんにもアリバイがありました。櫻井さんは事件当日の夕方、東京都中野区の兄、賢司さんのアパートに行き、そこで偶然杉山さんと会い、一緒にそのアパートに泊まっていたのです。しかしなにしろ40日も前の出来事であり、警察には何度訴えてもその日ではないとアリバイを否定されました。
 警察は、連日の深夜に渡る取り調べで、「お前しかいない」「認めて反省しなければ死刑になる」などの精神的肉体的に追いつめていきます。二人は、「警察にはいくら言っても分かってもらえない。後で検察官や裁判官に話せば分かって分かってくれる」との思いから、ついに10月15日になってウソの自白をしました。 
 その後、櫻井さん・杉山さんは検察官に対して自白を撤回して否認しますが、また警察の留置場に逆送され、再び厳しい拷問的な取り調べで再自白を強いられます。そして12月28日、強盗殺人罪で水戸地方裁判所土浦支部に起訴されてしまったのです。

裁判で聞き入れてもらえなかった無実の訴え
 裁判がはじまると、2人は一貫して無実を訴えました。しかし土浦支部は、1970年10月6日、何の物証もない中、自白を根拠に無期懲役判決。東京高等裁判所、最高裁判所と無実を訴え続けましたが、いずれも訴えは退けられ、1978年、2人の無期懲役刑が確定し、千葉刑務所に収監されました。
 その後、獄中からも無実を訴え続け、1983年、土浦支部に第1次再審請求の申立てを行いますが、裁判所はこれを棄却。1996年11月に仮出獄をはたし、2001年には第2次再審請求の申立てを行いました。
 この再審請求審の中で、検察が隠し持っていた膨大な証拠を次々と明らかにさせていきました。その中には、改ざんされた取り調べテープ、第3者が現場にいたことを示す毛髪鑑定書、2人とは別の男だったという主婦の目撃証言など、2人の無実を示す重大な証拠が含まれていました。検察がこれらの証拠を最初から出していれば、2人は犯人とされず29年間の獄中生活や44年間にわたる裁判闘争もなかったはずでした。
 再審でこの検察による権力犯罪が明らかになる中で、2011年5月24日、2人に無罪判決が下されました。

2,裁判での主な争点

@物証がなく、自白も信用性がない
 布川事件の最大の特徴は、物証が何ひとつないということです。凶器もありません。あるはずの2人の指紋、足跡、その他の遺留品もありません。
 そこで根拠としたのが「自白=供述証拠」です。警察のウソこそが、2人を自白に追い込んだ最大の武器でした。たとえば櫻井さんに「お前の母ちゃんも『やってしまったことは仕方がない、早く本当のことを言え』と言っている」と責め立てましたが、これもウソでした。
 警察はまた「ポリグラフ検査(いわゆるウソ発見器)の結果、犯人と出た」と迫ったのですが、その資料は、弁護側からの再三にわたる請求にもかかわらず、いまだに検察官から開示されていません。
 ところが裁判所は、「捜査段階において両被告人に対し強制、拷問もしくは脅迫が行われた形跡は全く認められない」として、2人の自白は任意でなされたとしました。
 そしてたとえば、指紋がまったくないことについても、裁判所は「指紋により犯人を特定することができないからといって、そのことだけで直ちに被告人両名の犯行を否定し本件強盗殺人の認定を不能とするわけにはいかない」などとへ理屈を並べて、自白は信用できるとしたのです。

A目撃証言は信用できるか
 自白を支えるものとして登場したのが数人の「目撃証言」です。
 そのうちの1人は、夜の7時30分頃、バイクを時速30キロで運転して被害者宅前を通過した際、そこにいた2人を目撃したというのですが、後の実験や鑑定で、路肩にたたずむ2人の人物が誰かを正確に識別できないことが証明されました。またこの人は、事件直後は「誰も見なかった」と言っていたのに、半年も後になってから、突然「2人を見た」と言い出したのです。
 また5人の人が、布佐(ふさ)駅や利根川の橋で犯行日に「2人を見た」と言っています。しかしここは2人の地元で通勤経路であり、いつも通っているところです。そして後に「2人を見たのが犯行のあった8月28日と警察に言われて証言した」と言っています。
B検察による証拠隠し
 検察官は、警察が集めたぼう大な証拠の中から、被告人を有罪とするのに役立つ一部の証拠だけを取り出して裁判所に提出します。弁護側は、検察のもとにどのような証拠があるのかさえ分かりません。
 裁判所に提出されず検察官の手元に残された証拠の中には、2人の無罪を示す証拠がたくさん隠されていました。
 弁護団は、あるはずの証拠を調べ、検察官にそれらを提出するよう請求しました。検察官はそのほとんどについて「不見当(見当たらず)」と回答し、隠し続けました。しかし弁護団はくり返し請求を続け、ついに2人の無実を示す大事な証拠をいくつも明らかにさせたのです。えん罪は、まさに検察による証拠隠しと、それをただ追認する裁判所によってつくられる権力犯罪です。

3,隠されていた主な無実の証拠

@残っていたのは誰の頭髪か 〜毛髪鑑定書〜
 警察は事件直後に被害者宅を検証し、死体周辺に落ちていた8本の毛髪を押収しました。弁護団は、検察官に対してこの毛髪鑑定書の開示を求め、2003年になってやっと開示されました。その鑑定書では、頭髪は櫻井さん・杉山さんの頭髪と「類似しているとはいえない」とされていたのです。
 さらに検察に対して、2人だけでなく、被害者の毛髪との比較鑑定書があるはずだと要求しましたが、検察は「鑑定書は先に提出した1通だけで、他にはない」と回答していました。しかしさらに根拠を示して追求すると、2004年に検察官はしぶしぶ2通目の鑑定書を提出してきました。
 しかもこの鑑定書では「5本は被害者と類似するものではない」と鑑定されていました。つまり、被害者の死体周辺に、櫻井さん、杉山さんのものとも被害者のものとも異なる第三者の5本の毛髪があったのです。

A被害者宅前の2人連れは別人だった 〜供述調書〜
 事件のあった日の夕方、近所の主婦が被害者宅に用事のために自転車で行くと、2人の男がおり、1人は被害者と話し、1人は通りを向いて立っていました。判決では杉山さんが通りを向いて立っていたことになっています。
 主婦は先客がいると思い、その男の顔を見ながら通り過ぎましたが、その男は地元のよく知った男で、杉山さんではありませんでした。主婦は杉山さんとは昔からの知り合いで、よく知っているのです。このことを主婦は警察に何度も供述していました。
 この目撃証言は、2人が犯人でないことを証明する重大な証拠です。ところが検察はこの主婦の調書を隠してしまったのです。検察が追求されてやっと出したのは、第2次再審請求になってからの2004年で、37年後です。しかも検察は、この主婦による別の複数の調書を「不見当」として、未だに開示していません。

B隠されていた録音テープ
 警察は取り調べの中で、10月と11月の2回にわたって、自白の様子を計4本のテープに録音していました。そして検察官は自分らに都合のよい11月のテープ2本だけを証拠として提出し、「テープを録音したのは1回だけで他にはない」とくり返しウソを言ってきました。10月のテープは提出されることはないまま有罪判決が確定しました。
 しかしこれも第2次再審請求審で追求した結果、「ない」と言われていた櫻井さんの10月の録音テープが、38年ぶりにとうとう検察官から提出されたのです。
 しかもこの録音テープは、約17分間録音されていない時間があり、合計13カ所の録音中断箇所があることが専門家の鑑定で明らかになりました。その録音中断は捜査官が自白を訂正させているところです。テープは、自分たちに都合のよいように編集されたものだったのです。

4,再現実験により明らかになった真実

@指紋の残り方
 弁護団は、第2次再審請求審で、自白どうり室内で金品をさがして物色行為を行っても指紋が見つからないということがあるかどうか、2人とともに実験を行いました。
 その結果、指紋は合計84個の検出され、その内11個が櫻井さんの指紋と一致しました。櫻井さんや杉山さんの指紋は1つもなかったのですから、2人がこの犯行現場にはいなかったことが実験で裏付けられました。
 
Aガラスは下を蹴っても割れない
 自白によると、被害者が死亡した後、櫻井さんと杉山さんは偽装工作のためにガラス戸をはずしたとされ、そのとき杉山さんがガラス戸の下の方を蹴ったら上のガラスが割れたとされています。
 弁護団はこれについて専門家に鑑定を依頼して実験を行いました。その結果、ガラス戸が壊れるのは「外面変形」、つまりガラス戸が大きくゆがんだときで、人がガラス戸の下を強く蹴ってもガラスは割れないことが分かりました。
 さらに、倒れたガラス戸は上框(かまち)のホゾが折れていましたが、自白のようにガラス戸の下を蹴ってもホゾや框がこのように壊れることはないことも分かりました。
 2人の自白は事実に基づかない、誘導されたウソであることが証明されたのです。

BW証人は本当に2人が見えたのか
 W証人は、検察官に対し、事件当日の夜にバイクで走っている途中の行きと帰りに、被害者宅前で櫻井さん、杉山さんの2人を見たという供述をしました。さらに帰りには被害者宅から「鶏の悲鳴のような音をきいた」とも言っています。そしてこの証言について、裁判所は「信用できる」としました。
 これについて、厳島教授がバイクで通学している74人の学生を対象に実験したところ、正しい識別できた人の割合は、わずか14%(74人のうちわずか1人)という結果でした。この目撃証言も捜査当局の誘導でつくられたものだったのです。

5,殺害方法は自白と違っていた

 殺害方法について自白では、その場にあったパンツを口に詰め、櫻井さんが別のパンツで首を絞めようとしたところ、パンツが短くて首に回らないので、そのまま手のひらで首を押して殺した(扼頸(やつけい))という内容になっており、確定判決も自白どおりに認定しています。
 ところが、被害者の死体を解剖した秦(はた)医師は死体鑑定書で、ヒモなど首を絞めて殺した(絞頸(こうけい))としています。殺害方法という重要な問題で、自白は事実とはまったくちがってました。

 しかし裁判所は、2人の自白は、死体の状況に一致しているとしました。そこで弁護団は千葉大学の木村康博士にあらためて鑑定を依頼しました。
 木村博士は、殺害方法は自白のように手で押さえつけた扼頸(やつけい)ではなく、ヒモや布などによって絞めた絞頸(こうけい)であると結論付けました。
 
 さらに弁護団は、死体を解剖した秦医師による死体検案書が別に存在することをつきとめ、検察に開示を要求しました。2003年に、38年間隠されていた検案書がやっと開示されましたが、それには弁護団や木村鑑定の主張どおり、死亡の原因は「絞頸(こうけい)(推定)」とはっきり書いてあったのです。
 また同時開示されたパンツを伸ばしたところ67センチメートルにもなり、これを首に巻いて絞め殺すことが十分できることも明らかになりました。
 手で締めたという殺害方法についての2人の自白は、これによって崩壊しました。そして再審開始決定へとつながっていったのです。

6,布川事件を教訓に、狭山事件の再審をかちとろう

 狭山事件は、いま第3次再審請求が取り組まれています。
 別件逮捕、指紋がまったくないこと、殺害方法の食い違いをはじめ、布川事件と同じ問題がたくさん明らかになっています。検察がぼう大な証拠を隠して「不見当」をくり返していることも同様です。
 私たちは、再審無罪をかちとった布川事件のたたかいに学び、何としても狭山事件の再審開始を勝ちとり、石川一雄さんの無罪を実現したいと思います。



●桜井昌司さんを招いて「布川事件の学習会」を行います

2017年10月20日


 茨城県利根町で起きた強盗殺人事件(布川事件)の「犯人」としてでっち上げられ、29年間の獄中生活の末に再審無罪をかちとった桜井昌司さん。
 狭山事件に取り組む私たちにとっても、布川事件のたたかいはとても教訓にあふれたものです。会では桜井昌司さんを招いて、いかにえん罪事件がつくられていくのか、当事者からじっくりお話をうかがいます。ぜひご参加下さい。

  ▽日時  11月4日(土) 午後1時
  ▽場所  土浦亀城プラザ
  ▽参加費 500円



(桜井昌司さん)




●故 沼尻かつえさんの偲ぶ会と散骨式(沖縄)が行われました


 ガンのためになくなった、前代表の沼尻かつえさんを偲ぶ会が、7月23日、つくば市谷田部で行われました。
 偲ぶ会には、夫の好夫さんをはじめ、狭山人権の会、「障害者」、友人など40名が参加し、それぞれかつえさんへの思いを語りました。



    





 かつえさんの遺言に基づいて、遺骨の散骨式が、10月14日、沖縄県辺野古の海岸で行われ、夫の好夫さんら7名が参加しました。
 場所は、湾内で辺野古の新基地建設が進められている場所の向き合い側で、建設の様子がよく見える場所です。
 かつえさんは生前、狭山差別裁判糾弾のたたかいをはじめ、「障害者」差別とのたたかい、そして沖縄のたたかいにも連帯して辺野古闘争にも参加しました。
 新基地を作らせないためにというかつえさんの魂が、これからも工事をにらみつけていくでしょう。


   





●新しい代表に新井滄吉さん


 狭山事件と人権を考える茨城の会の新しい代表を、新井滄吉さんにお願いすることになりました。
 新井さんは、会の発足からずっと一緒に活動されてきました。現在、利根町議会議員(無所属)です。







●沼尻かつえ代表が亡くなりました(6月19日)

2017年6月28日


 悲しいお知らせです。会の代表である沼尻かつえさんが、6月19日、すい臓ガンのためにつくば市内の病院で亡くなりました。66才でした。21日につくば学園教会で葬儀が行われました。
 沼尻さんは、同じく重度「障害者」である夫の好夫さんと二人で、地域での生活をしてきました。「障害者」の夫婦が地域生活をやり抜くこと自体が、たたかいでした。かつえさんは好夫さんとともに、「障害者」が人間らしく生きるために、市や県や国に対して、ずっと声をあげ、「障害者」解放の運動を担ってきました。また労働者との連帯、反戦平和のたたかいにも積極的に参加してきました。

 そのかつえさんが、数年前から全力で取り組んできたのが、狭山差別裁判糾弾闘争でした。かつえさんは代表を引き受け、県内各地での映画上映会、講演会、学習会などを組織し、いつも先頭で頑張ってきました。東京高裁や高検への要請行動にも車イスで電車を乗り継ぎ、いつも参加して担当官にするどい糾弾を行ってきました。


 昨年から「やせた」とは言っていましたが、今年3月に医師から病状を告げられるまで、まったく自覚症状はありませんでした。「末期のすい臓ガン」と告げられたかつえさんは、「ガン治療はしない。残された時間を、悔いなく、全力でたたかいを貫いていく」と宣言。4月の水戸市での『狭山の黒い雨』上映会に参加。その後、入院となっても、5月の横田弁護士講演会には外泊を取って参加し、あいさつした後はそのまま病院に直行しました。これがかつえさんの最後の集会参加となりました。

 本当に、最後の最後まで、狭山の勝利のためにたたかいぬいた人生でした。でもあまりに早すぎた。

 私たちの会は、沼尻かつえさんの意志を引き継ぎ、石川一雄さんの完全無罪を勝ち取るまでこれからも全力でとりくんでいきます。かつえさん、ご苦労さまでした。私たちのたたかいを見守っていてください。


  

                 


   



   



   






●横田弁護士の講演会に市民50名が参加しました

2017年6月1日


 5月21日、つくば市イノベーションプラザで、狭山事件再審弁護団の横田雄一弁護士を招いて、「狭山事件の再審を求め、差別と人権を考える講演集会」を開き、市民50名が参加しました。
 横田弁護士は、とくに狭山事件における部落差別の問題を詳しく話され、「狭山事件の勝利なくして、部落差別はなくならない」と強調されました。











【発言された方々】




      反原発運動の立場から        つくば市議会議員        「障害者」解放運動から
       脱原発とうかい塾                              茨城青い芝の会代表
       相沢一正さん              金子和雄さん          里内龍史さん
                                               (代読 つくばみらい市議会議員
                                                    野口修さん


講演の録画が以下にアップされています。


挨拶:http://twitcasting.tv/tamakoina/movie/374057799
講演:http://twitcasting.tv/tamakoina/movie/374058731
You-tube
https://www.youtube.com/watch?v=t4SiwNm3xPs&t=5019s




●5月21日、つくば市で横田弁護士の講演会を開催します

2017年4月28日


 5月23日は石川さんが不当逮捕されて54年目の日です。
 会では、この日に向けて、次のように狭山事件の学習講演会を開きます。皆さんの参加をお待ちしています。

●日時  5月21日(日) 午後1:30
●場所  つくば市イノベーションプラザ
         (つくば市吾妻1-10-1  ノバホール内)
●講師  狭山再審弁護団 横田雄一弁護士
●入場料 500円(学生無料)


                                



●水戸で『狭山の黒い雨』上映しました

2017年4月27日


 水戸市の日本基督教団・水戸教会で、『狭山の黒い雨』上映会が取り組まれ、20名の市民が参加しました。
 上映後、「なぜ狭山は勝てないの?」「どうしたら勝てるの?」と活発な意見交換が行われました。



●2017年、今年を狭山勝利の年としましょう

2017年1月12日



皆さん、明けましておめでとうございます。

 狭山人権の会は、今年こそ狭山事件の第3次再審の開始と、石川一雄さんの完全無罪判決をかちとる年とするべく全力でがんばります。



 石川一雄さんが、新年のメッセージを発しているので、転載します。


新年メッセージ


満月にベランダいでて佇めば 月は急いで雲を駆け抜け

 仮出獄ながら、社会に出て、23回目の正月を迎えることになってしまいましたが、全国の支援者の皆さん方は如何なる方針、決意を秘めて越年されたでしょうか。
新年明けましておめでとうございます.
 日々恙無く過ごせているとはいうものの、殺人犯の汚名も拭えず、54年という途方もない永い年月を送り、然も刑事裁判の鉄則を踏まえれば、私の無実を示す証拠は沢山存在しており、再審を行ってもいい筈なのに、司法の姿勢は変わらないままなのかとすら感じます。
 言及する迄もなく、戦前の憲法の悲惨な人権蹂躙の反省の上に作られたのが現憲法であり、だとすれば、弁護団から提出された数多の証拠上からみても冤罪性は明らかであり、即座に再審の門を開けるべきであるにも関わらず、司法は結論を出さないまま、30回の三者協議を重ねる結果となってしまいました。しかし、昨年8月に出された下山鑑定によって警察当局の犯人デッチ上げの真相が公になり、最早、警察、検察当局を逃がさないところまで追いつめています。私自身、今日まで、幾度となく繰り返してきた「今年こそ」が本当に「今年こそ」となりそうであり、又、そうしなければならないと肝に銘じ越年致しました。
 思えば、時の国家公安委員長の「・・・生きた犯人を・・・」の声に端を発し、そして何が何でも犯人をと焦った警察は、憲法の精神を無視し、被差別部落民で無学な私を生贄にすべく別件逮捕し、代用監獄の中で、甘言、脅し等で自白を強要、また証拠を改ざん、捏造したり、隠蔽することによって人権を蹂躙したのであります。
 現在でも冤罪が後を絶たないのは、憲法を順守し、人権を擁護する立場にある筈の検察庁、法務省が、人権蹂躙の犯罪行為を行い、証拠の隠蔽を静観していることこそ問題であり、責任も重大であると指弾しなければなりません。
 何れにせよ、下山鑑定書が、このような司法の闇にメスを入れ、真実を明らかにして下さる事でしょう。万年筆に関しては第一審当初から一貫して、発見経過がおかしい事、被害者が使っていたインクと異なるインクが入っていたことなどもあって、贋物ではないかと指摘していたのに対し、これまでの再審を棄却した決定では「級友から借りる、乃至は郵便局に立ち寄った際にインクを補充した可能性」で結論付け、その後、第一次、第二次の再審請求審の2人の最高裁判長迄もが、一回、二回目に家宅捜索を行った元捜査官が、「三回目に発見された場所はすでに探したところであり、万年筆はなかった」旨の証言にも謙虚に耳を傾けることなく、ただ年数が経っているから信用できないと確定判決を追認、踏襲したのであります。
 何故確定判決の認定を是認する前に、一、二回目の家宅捜索時の捜索官の証言や、三回目の捜索で万年筆が発見された「鴨居」の下に脚立が写っていることに思いを馳せなかったのか。私は2人の最高裁裁判長として資質を問うというより、弾劾する必要性を強く抱いているのであります。
 また、秘密の暴露の一つとされた、鎌倉街道での、自動三輪車の一件を含め、被害者宅の前方に車が停車していたとの時間帯についても、未開示の証拠が開示されたことによって、当時の捜査当局が如何に焦って証拠を見繕い、その事により裁判官が誤審し、冤罪を作り出してきたかも、国民の前に驚愕を持って明らかにされることによって、警察、検察、司法全体の権力犯罪を知ることになるでしょう。
 今年は2月上旬に三者協議が予定されており、下山鑑定について検察側はどのように反論するのか、多分突拍子もない事を持ち出し、躍起となって誤魔化すに違いありませんので、決して楽観することなく厳しく対峙して参る所存です。
 高裁前アピール行動は1月中旬から行いますが、私自身、検察官に隠し持っている証拠の開示を強く迫って参りますが、なかでも高検以外の隠し持っている証拠物リストの開示や、高裁に下山鑑定書等の鑑定や鑑定人尋問、事実調べをさせることを強く訴えたいと思います。
 元より支援者皆さん方も裁判官も下山鑑定に因って狭山事件の虚構と、その根底から突き崩す科学の力の確かさを存じあげている筈であり、裁判官も今までの判決、判断に予断を抱くことなく司法的抑制の理念の上に立って弁護団が指摘した諸々の論点、事実に就いて虚心にそして真摯に精査され、大局的見地に立ち検討して頂ければ、最早司法が正義の姿勢を見せ、法廷の場で真相を究明する以外の結論は無いと確信しております。
 皆さん方が例年同様に私の無実を信じ、再審闘争に理解し、応援して下さることは取りも直さず裁判上に大きく反映されるはずであり、私自身も今年こそ冤罪を晴らすべく、最大限取り組んで参る所存であります。
 最後の最後まで皆さん方にご迷惑をおかけし、誠に申し訳なく思いますが、どうか一刻も早く、私、石川一雄が自由の身になれますようご協力を切にお願い申し上げ、新年の第一歩に当たり、心からお願い申し上げて私のご挨拶と致します。
 末尾になりましたが、皆様方も一年を通してご多幸でありますよう狭山の地から念じつつ失礼いたします。

2017年1月
                               石川 一雄

(上記歌を詠む切っ掛けになったのは下山鑑定書の提出後、胸にえていたものが取れ、外に出てみると月が煌々と私を照らしてくれているように感じました。強風によって雲を吹き飛ばしてくれたのですが、多分来年は良い年になりそうだと思い詠んだ歌です)




●東京高裁と検察庁に要請行動を行いました(12月7日)

2016年12月12日


 東京高裁には、対応した訟廷管理官という方に、参加者からの要請書(下に掲載)と、署名394筆を提出して、「必ず事実調べ、再審を開始するように、植村裁判長に伝えて下さい」と、30分の要請をしました。

 東京高検では、公判部の検察事務官が対応しました。検察に対しても、要請書と、署名128筆を提出。「証拠を隠しているなんておかしい。全部の証拠をすぐに出して下さい」「あなたたちの先輩がやった間違いを、今の時代のあなた達が直すべきだ」と、30分の要請をしました。






東京高等裁判所第四刑事部 植村稔裁判長殿
東京高等検察庁 狭山事件担当検事殿

狭山事件の再審と石川一雄さんに関しての要請書


 私達は、狭山事件と人権を考える茨城の会≠ニ言います。
 私達は茨城の各地で映画『見えない手錠を外すまで』の上映会を開き、石川一雄さんの無罪を勝ち取るために、石川さんを支援しているグループです。またそれと同時に、人権問題にも取り組みたいと考えているグループでもあります。昨年に続き今年も要請文を提出いたします。
 今年は、万年筆のインクに関して、石川さんの無実を確信できる新証拠が出ました。これは、検察庁が出した数少ない証拠をもとに、弁護団が努力して明らかにしたものです。
 ただでさえ少ない証拠開示でありますが、弁護団は広い砂浜から針を探すような思いで、開示された証拠を調べ、新証拠につなげたのだと思います。このような弁護団の苦労を思えば、検察官は、もっと多くの証拠を開示するべきだと思います。

 私自身は障害者でもありますが、部落問題や障害者問題、その他多くの問題に共通しているのは、差別です。差別は人権侵害に当たると思いますし、法律違反になるのでは、ないでしょうか? 私は、法律に携わっておられる担当検事自身が、自ら法律違反を犯しているように思います。担当検事自身が法律違反を犯していないと思っているならば、一日も早く全証拠の開示をして下さい。
 また裁判所は、いつまでも石川さんに苦しい思いをさせていないで、直ちに事実調べと再審を開始して下さい。
 私たちは、石川さんの無実を勝ち取るまで、これからも石川一雄さんを支援して行く所存です。
 石川一雄さんは、差別から犯罪者の汚名を着せられました。逮捕されてから50年以上汚名を着せられたまま、苦しみの中の人生であったと思います。
 検察庁と東京高裁は、石川さんの苦しみをもう一度よく考えて、「全証拠の開示」と「再審の開始」に着手して頂けますよう強く要請します。

2016年12月7日                狭山事件と人権を考える茨城の会 代表:沼尻かつえ







東京高等裁判所第四刑事部 植村稔裁判長 御中

狭山事件の再審開始を求める要請書


 今年8月に出された下山鑑定は、石川さん宅から発見されたとされる万年筆が被害者のものではないことを科学的に明らかにしました。
 これまでも、本当に万年筆が低いカモイの上にあれば2回の家宅捜査で発見できないことはないこと、万年筆には石川さんの指紋がないことなど、万年筆には大きな疑問があり、にせ物だと言われてきました。それが今回、科学的に裏付けられたのです。
 もはやどのような言い逃れもできません。どこかで拾ってきた万年筆を、被害者のものだと間違えてしまったわけではありません。石川さんの自宅から万年筆が出てきたということは、警察がこの証拠をねつ造したという以外にはありません。
 石川さんは部落差別による貧困の中で、小学校も満足には行けませんでした。当時の石川さんは、自分の名前の漢字さえ書けなかったのです。文字を書くことなどない生活を送っていた石川さんが、脅迫状を書いたとか、万年筆を奪って自宅に隠しておくなどというストーリー自体が、部落差別を理解できない警察や検察、裁判所の作り話なのです。
 東京高裁・植村裁判長は、これまでのように事実調べから逃げて棄却決定をくり返すようなことは、絶対に許されません。東京高裁は、石川一雄さんの無実と警察の証拠ねつ造を証明したこの下山鑑定について、必ず事実調べをして下さい。下山鑑定人を裁判所に呼んで、鑑定人尋問をして下さい。そして疑問があるなら、裁判所みずからが、さらにインクについての再鑑定を実施して下さい。
 また検察は、万年筆関連の証拠を初めとして、今もぼう大な証拠を隠し持っています。東京高裁は、すべての証拠を開示するように、検察に証拠開示命令を出して下さい。
 以上、強く要請します。
                                    部落解放同盟全国連合会茨城県連合会
                                                                執行委員長 片岡 啓一





 
東京高等検察庁 狭山事件担当検事 御中                      

狭山事件の証拠開示と再審を求める要請書


 今年8月に出された下山鑑定は、石川さん宅から発見されたとされる万年筆が被害者のものではないことを科学的に明らかにしました。
 これまでも、本当に万年筆がカモイの上にあれば2回の家宅捜査で発見できないはずはないこと、万年筆には石川さんの指紋がないことなど、この万年筆には大きな疑問があり、にせ物だと言われてきました。それが今回、科学的に裏付けられたのです。
 検察は、この下山鑑定が間違っていて、発見された万年筆は石川さんが被害者から奪った万年筆だというなら、反論する鑑定を堂々と出すべきです。発見万年筆は、被害者のものか、ねつ造されたものか、裁判の場でシロクロをはっきりつけるべきです。
 石川さんは部落差別による貧困の中で、小学校も満足には行けませんでした。検察はその論告で「そのような家庭環境に育ったから、凶悪な犯罪者になった」という差別論告を行いました。検察は、被差別部落出身者や貧困家庭の者を犯罪者予備軍とみるこのような差別論告を取り消し、謝罪すべきです。
 しかも自分たちが被差別部落に差別捜査を集中し、万年筆などの証拠をねつ造して石川さんを犯人にでっち上げておきながら、今も多くの証拠を隠して出さないなど、二重三重に許されることではありません。

 石川さんは年が明けるとすでに78才、不当逮捕から53年間無実を叫び続けています。これ以上、石川さんを苦しめるのはやめなさい。
 私たちは、検察に対して再度強く要請します。
 1,警察や検察が国民の税金を使って集めた証拠は、検察の独占物でなく国民の財産です。検察は、隠し持つすべての証拠をすぐに開示すること。
 2,下山鑑定を認めるなら、再審の開始に同意すること。認めないというなら反論の鑑定書を出すこと。

                                  部落解放同盟全国連合会茨城県連合会
                                                            執行委員長 片岡 啓一






東京高裁第四刑事部 植村稔 裁判長殿

要 請 文


 昨年、つくば市で「SAYAMA 見えない手錠をはずすまで」の上映会と石川さん夫妻の講演会が開かれました。
 奧さんの早智子さんは話しの中で、「一夫さんが刑務所の中で一生懸命、文字をおぼえて、今は車の免許証を持っているけれども、仮出獄の身で、もし事故でも起こしたら大変なので、いつも私が運転するんですよ」と言っていました。それを聞いて私は、「石川さんには見えない手錠がかけられているのだな」と改めて思いました。
 また石川さんは、亡くなったお父さんとお母さんのお墓参りもしていません。早智子さんが一人でお墓に行っているそうです。それは「手錠のかかった手で拝むことはできない。晴れて無罪を勝ち取ってから両親に手を合わせる」と決めているからです。
 1日も早く石川さんが、ご両親の墓参りができるよう、再審を開始して下さい。
 今回、万年筆のインクの新証拠が明らかになりました。「今度こそは」という気持ちでいっぱいですが、今までも「理由にならないような理由を付けて」棄却されてきましたので、不安もあります。
 裁判長、今度こそ、再審をひらき、証人を呼んで、新証拠を調べて下さい。石川さんの意見を聞いて下さい。
   私たち婦人部は、石川さんが無実になるまで、石川さんと共にたたかっていきます。

                                  部落解放同盟全国連合会茨城県連合会
                                    婦人部長 松本節子






●12月7日に、東京高裁と検察庁に要請行動を行います

2016年10月14日


  会では昨年に引き続き、今年も東京高裁と検察庁(東京高検)に対して、「石川さんは無実だ! 再審を開始せよ! 検察は隠し持つ全証拠を開示しろ!」という要請行動を取り組みます。
 皆さん、ぜひ参加して下さい。


  12月7日(金) 11:15東京高裁の正門前に集合
              11:30 東京高裁への要請(30分)
                           13:15 検察庁への要請(30分)


要請行動の終了後、会の例会と忘年会を行います。要請行動に参加できない方も、ご参加をお願いします。

  12月7日(金)  午後6時 土浦市「ビジネスホテル つくし」
                       土浦市東真鍋町 1-38 TEL 029-821-2195




●狭山映画『造花の判決』上映会に33名が参加

2016年10月14日


 10月10日、つくば市の「市民ホール谷田部」で、『造花の判決』上映会を開催しました。この映画は、1976年に制作されたドラマで、寺尾判決の内容を批判し、主人公の生き方を通じて部落問題を訴えるものです。
 上映会は、坂本繁雄さんの司会で始まり、沼尻かつえ代表が、石川さんは無実だ、狭山再審を開けという声を、さらに大きく広げていこうとあいさつしました。
 上映後、下山鑑定が出され、万年筆はにせ物だったということが科学的証明されたことが話されました。そしてみんなで東京高裁あてに、事実調べを求めるハガキを書きました。
 はじめて狭山事件の集会に参加したという人が何人もおり、運動の輪は少しずつですが広がっています。


 










●石川一雄さんを迎えた狭山つくば集会 (3) 集会報告

2016年5月30日



■石川早智子さんのブログ『冤罪 狭山事件』で、つくば集会のことが詳しく報告されています


 http://www.sayama-jiken.com/syu/top/syu2002.htm



■集会での、茨城青い芝の会代表・里内龍史さんの連帯あいさつ(抜粋)


 私は日本脳性マヒ者協会、茨城青い芝の会の里内です。
 私と狭山闘争とのかかわりは、1970年代に滋賀大学の部落解放研究会にかかわっていて、その部落解放研究会が主催した「造花の判決」という狭山闘争の映画の上映会に参加したのが初めてです。その後、滋賀の障害者と東京の日比谷野野外音楽堂で行われた石川氏奪還集会に参加しました。

 生家が浄土真宗の寺で、父が同和教育の教師であったりして、少年時代から部落問題とは身近な環境に育ちました。当時は狭山闘争などの社会問題をテレビやラジオの深夜放送で取り上げた時代で、私も見たり聞いたりしていました。また部落を歌ったフォークソングがラジオの深夜放送で流れていて、私もレコードを買いました。その体験が今の私を作っていると思います。

 50年間、ご自身の無罪判決と部落完全解放を目指して闘っておられる、石川氏に敬意を表します。今日の石川氏の講演を楽しみにしています。

 さて、障害者に対しても偏見と誤解が根深く存在していて、島田事件の赤堀氏、野田事件の青山氏など、冤罪に巻き込まれる危険があります。私たち言語障害のある障害者などは容疑を課せられたら反論ができず、コミュニケーションがとれないで、検察官の言うがままに容疑を認めざるをえなくなってしまい、冤罪に巻き込まれる恐れがあります。

 その偏見や誤解の根底には優生思想があります。能力主義社会においては能力が欠ける障害者は不要な存在になって、死刑宣告を受けます。具体的に旧優生保護法で障害者は不良な子孫と明記され、生を許されなかったのでした。
 今も障害胎児を選別につながる受精卵検診の解禁の動きや、不幸とされる障害者を死に導く尊厳死法制化が、目の前の状況、安倍政権の改憲の動きなど、優生思想が強まりつつあります。障害者差別解消法で行政上の差別がなくなったとしても、優生思想と闘わない限り障害者の生存権は確立しません。
 石川氏と共に、石川氏の無実と、部落と障害者の完全解放を勝ち取るために闘いましょう。世に光あれ。人に熱あれ。





石川さんに手渡す檄布に記入する集会参加者



■集会参加者から寄せられた感想文(抜粋)


●石川夫妻のお話は、とても感激し感動しました。再審勝利まで、私もがんばります。戦争法、原発、憲法と課題は目白押しですが、みんなの力を合わせて闘いましょう。

●狭山事件についてはほとんど知識がありませんでしたが、大変勉強になりました。布川事件の支援をしておりますので、取り調べの状況や別件逮捕など、共通することが多いことに改めて驚きました。早期の再審無罪判決をお祈りします。

●30年位前に夫に連れられて、新聞労連の集会で狭山事件のことを知ったような気がします。初めて狭山事件のことを聞き、家の軒の万年筆のことなど、変な話だなという印象を持ちました。今や、石川さんや周りの方々のお力で、知る人は多くなり、私なども本日は機会を頂き、深い認識に気づかせていただきました。
私もいとこが被差別部落の方との結婚で、親戚一同の反対もあって大変でした。ですが、とても幸せな温かな家庭をつくることができました。身近なところにある差別から、ささやかなところでしっかり抵抗していきたいと、今日のお話を聞き、力づけられました。

●指宿弁護士の事件の詳しい概要説明もあり、そのあとの石川さんの言葉の重みをかみしめることができました。看守さんの話も初めて知り、早智子さんの話にもあったように、人と人のつながりが、人間を支えるのだとあらためて考えました。私達も若い人達に事件を知らせ、再審をかちとり、石川さんの無実をかちとる日まで連帯していきたいと思います、またお話しを是非聞きたいです!

●石川氏と元看守さんとの心温まる出会いに感動しました。石川さんは無実です。全面勝利確信しています。ご夫婦のご健康、ご健勝を土浦の空から祈っています。「人間賛歌」の素晴らしさ、石川さんから教わりました。人間の尊厳の重要さ、改めて身に染みました。喜寿の本年、とりあえず「白寿」を目指し、益々のご健勝をお祈りします。石川氏への敬意いたく感じ入ります。

●警察・検察は税金によって捜査しているのだから捜査で得た資料は国民に開示すべきだ。なぜそうしないのか疑問だ。また裁判官はどの証拠をどのように理解・判断したのかを述べるべきだ。本件に限ったことではない。裁判官は判決内容について検察や弁護士の疑問に回答すべきだ。

●ちかん事件等、誰しもえん罪にされる可能性があり、他人事ではないと感じた。警察の取り調べは、白を黒にするものであり、人権が尊重されていない感じた。「個人の人権より権力のメンツ・利益が重視されていると思う。自民党の憲法草案は個人の人権を制限し、国家権力を強化するものである。このようなものが通れば「狭山事件」のような差別は益々進むのではないか。

●長い間の闘い、苦しみを思い胸が痛みます。自分がもし、と思っても想像すらできません。うらみで死にきれないと思います。ずっと昔野間宏氏の「狭山事件」を読み、無実を信じました。頑張りましょう。心から祈っています。









●石川一雄さんを迎えた狭山つくば集会 (2) 集会報告・写真

2016年5月30日




石川一雄さん・早智子さん・指宿弁護士を囲んで実行委員が記念撮影





    石川一雄さんがつくば集会のために詠んだ句

「吾無実 明かす証拠は数多でも 今も司法は治外法権」







石川一雄さんを支え、支援を訴える早智子さん





賛同議員を代表してあいさつする、つくば市議会議員の金子和雄さん





連帯のあいさつをする、元東海村議員で脱原発東海塾代表の相沢一正さん





連帯のあいさつをする、茨城青い芝の会代表の里内龍史さん





連帯のあいさつをする、部落解放同盟全国連茨城県連委員長の片岡啓一さん





布川事件で再審無罪をかちとった桜井昌司さんからのメッセージが読み上げられた


「つくば集会にご参加の皆さんへ」

 石川さんの長い闘いにご支援をくださいます皆さん、有り難うございます。布川事件は、お陰様で勝利しました。もう5年になります。しかし、まだ石川さんの狭山事件は闘いが続いています。

 なぜでしょうか。一にも二にも、検察の証拠隠しに理由があります。私の闘いでも、また多くの仲間たちの闘いでも、どの事件でも検察は無実示す証拠を隠してきました。狭山事件も同じです。もし、いま、弁護団が求める証拠開示を裁判所が認めるならば、たちどころに石川さんの無実が明らかになるでしょう。そのことは、きっと皆さんのご存知だと思います。

 なぜ、検察が証拠を隠して許されるのか、裁判所は証拠開示を認めないのか、私たちには理解できない裁判村の仕来りがあるようですが、一般常識が通用しない裁判村に、社会常識にかなった判断をさせるには、より多くの人の声を裁判所に届けるしかありません。

 私は、検察と警察の責任を問う自分の裁判を通して、そして、えん罪仲間として、石川さんの無実が明らかになるまで、一緒に闘うつもりです。

 本日は、支援する会の総会のため、地元の集会に参加できないのは残念ですが、どうか皆さん、今後とも石川さんの闘いにお力添えを下さい。宜しくお願い致します。

                                                     桜井 昌司





●石川一雄さんを迎えた狭山つくば集会 (1) 集会に160名が参加

2016年5月13日


 5月7日、つくば市カピオで開いた狭山集会に、160名の市民が参加してくれました。石川一雄さんご夫婦、狭山事件弁護団の指宿昭一弁護士の講演を中心に、「石川一雄さんは無実だ。第3次再審で何としても完全無罪をかちとろう」という決意が会場にみなぎりました。



狭山事件の真相と無実を訴える石川一雄さんと妻の早智子さん





第3次再審で運動の奮起を訴える指宿弁護士





参加者が書いた檄布が手渡された





●つくば市のホームページで、狭山


5月7日の「狭山事件・つくば集会」が、地元紙に掲載されました。











●つくば市のホームページで、狭山つくば集会が紹介されています

2006年4月14日

つくば市役所のホームページの、以下のサイトに案内が出ています。


http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/14214/14667/019549.html




●狭山つくば集会のチラシができました。

2016年4月13日





●5月に石川一雄さんが来県。つくば市で狭山集会を開催します

2016年3月4日


 石川一雄さんを招いて、茨城で狭山集会を開催することが決定しました。石川さんが茨城で大衆的に無実を訴えるのは、これが初めてです。
 会ではこれから多くの県民に参加を呼びかけていきます。ぜひご参加下さい。

  ■ 期日  5月7日(土) 午後1時
  ■ 場所  つくば市「カピオ」大ホール
             つくば市竹園1−10−1








狭山事件と人権を考える茨城の会
(略称:狭山人権の会)

代   表: 沼尻 かつえ
事務局長: 坂本 繁雄
事 務 局: 〒306-0052
  茨城県古河市大山521
  TEL/FAX  0280-48-2325
  mail :
 sayamaibaraki@gmail.com


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