略称:狭山人権の会
狭山事件と人権を考える茨城の会


これまでの活動





●今年こそ狭山再審を勝ち取る年に

2016年1月10日

 2016年の新しい年が幕を開けました。
 茨城では昨年を通じて、狭山現地調査、守谷市映画上映会、水戸市映画上映会、東京高裁と高検への要請行動、署名活動などの取り組みによって、これまでになく狭山事件の真相を広く県民に訴えてきました。
 
 しかし狭山再審をめぐる状況は、三者協議などを通じて少しづつ前進しているものの、相変わらず検察は証拠を隠し続け、東京高裁も事実調べに向けた動きを見せないなど、厳しいものがあります。

 今年は、石川一雄さんを先頭に再審開始に向けた確かな動きをかちとるために、決意も新たに頑張っていきます。ともにたたいましょう。



●石川一雄さんが、2016年 新年のメッセージ

2016年1月


新年のメッセージ

 狭山支援者皆さんへ。新年明けましておめでとうございます。


 昨年は緊迫した状況下にあるということで、多大なご尽力を賜り誠にありがとうございました。弁護団や、支援者皆様方の「証拠開示を」の声に押され、無実を示す証拠や、証拠物のリストの開示に因って次々と私の無実が明らかにされてきたこともあって、裁判所も判断を下すのではないかと、支援者各位にも何時にも増してご支援をお願いして参りましたが、12月21日に行われた第26回三者協議においては、まだ証拠開示の課題の協議が継続となり、現在の植村裁判長のもとでおこなわれている三者協議において徹底した証拠開示と弁護団提出の新証拠の事実調べを実現すべく今年に望む私の意気込みと皆さんの変わらぬご支援を賜れますよう、一筆執らせていただいた次第であります。

 私は決して焦りません。兎に角、検察に対し、徹底的に証拠開示を求めた上で、裁判長に決断を迫って参ります。ただ一言触れておきたいことは、狭山事件は再審請求が東京高裁に係属していることからいたしかたないのかもしれませんが、私自身は証拠物の一覧表の開示を促された河合裁判長がさらに証拠開示をすすめ事実調べに入る判断をされるものと思っておりましたのに、昨年6月末に交代されてしまったことです。しかし、あらたに就任された植村稔裁判長も証拠開示のこれまでの裁判所の考えを踏襲すると表明されているとのことですので、私も決意をあらたにしているところです。
新任の裁判長であれば、確定判決文は勿論の事、検察・弁護団の双方から出されている証拠や鑑定書等に十分に目を通して事実調べをおこなってもらいたいと強く望みます。いずれにせよ、私は、国家権力に対し、いかなることにも動じない姿勢で闘って参る所存です。

 昨年は白内障の手術をし、支援者皆様方にはご心配をおかけしましたが、若干術後の経過が思わしくないだけで、体力的には取り立てて悪い所もなく、半世紀以上も闘ってきたのですから、警察・検察を含む国家権力が証拠開示を渋り、裁判の引き延ばしを図っているとすれば、それに負けない強い意志で対抗していきます。
 暮れにはイギリスの雑誌「エコノミスト」の取材を受ける中で、記者が「えん罪や死刑制度の現実からは日本の司法は世界から見て一歩も二歩も後退していると思う」と言っておられましたが、それを変えるのが、吾々の闘いであり、狭山の冤罪が晴れれば、司法の在り方を根本的から変えなければなりませんし、その意味では、狭山裁判は試金石となり、その力量が問われていると、私は自分自身に言い聞かせ、不退転に闘って参る決意でおりますので、どうか皆さんも、私、石川一雄に最大限のお力添えを賜ります様、心からお願い申し上げます。
 末尾になりましたが、皆さんにとって今年もご健勝と、ご活躍を念じつつ、私の年頭に当たってのご挨拶に代えて失礼いたします。

2016年1月    石川 一雄




●狭山再審要求の要請行動をとりくみました

2015年12月11日(金) 


 午前11時から東京高裁、東京高検への要請行動に取り組みました。会からは、沼尻かつえ代表や、水戸の山本隆久代表をはじめ9名が参加しました。
 東京高裁では、菊池・訟廷管理官が対応しました。要請書は、@狭山事件と人権を考える会、Aネットワーク500、B新社会党茨城県本部、C水戸中央教会、D部落解放同盟全国連茨城県連から提出しました。参加者は、それぞれが書いてきた要請書を読み上げて手渡し、「石川さんは無実です。すぐに事実調べ、再審を開くように」と申し入れました。


東京高等裁判所第4刑事部
植村稔裁判長 御中

狭山事件と石川一雄さんに関しての要請書
                                 
 私達は「狭山事件と人権を考える茨城の会」と言います。私達は茨城の各地で、映画「見えない手錠をはずすまで」の上映会を開き、石川一雄さんの無罪を訴えながら石川一雄さんを支援しています。またそれと同時に、人権問題にも取り組んでいるグループでもあります。

 私自身は障害者でもありますが、部落問題や障害者問題、その他多くの問題に共通しているのは、差別です。差別は人権侵害に当たると思いますし、法律違反になるのではないでしょうか。
 石川一雄さんは、差別から犯罪者の汚名を着せられました。逮捕されてから50年以上汚名を着せられたまま、苦しみの中の人生であったと思います。無実の石川さんに殺人者の汚名を着せることは、法律に携わっている裁判長自身が、自ら法律違反を犯しているのではないでしょうか。
 担当裁判長が、自分は法律違反を犯していないと思っているならば、ただちに以下の事に着手して頂けますようにお願い申し上げます。
<狭山事件の事実調べ・再審を開く決定を行うこと>

 石川一雄さんは、もうすでに70才を越しております。せめてこれからの、人生が明るい毎日であるように願ってやみません。担当裁判長の一日も早い再審開始決定の決断をお願い申し上げます。

2015年12月11日
狭山事件と人権を考える茨城の会
代表 沼尻 かつえ





 東京高裁への要請を終えて裁判所の正門前に出ると、石川一雄さんご夫婦と支援者が、裁判所への訴え活動を行っていました。私たちは、石川一雄さんに「頑張りましょう」「茨城でも取り組みの輪を広げていきます」と激励し、かたく握手を交わしました。







 午後からは、高等検察庁への要請を行いました。及川事務官らが対応しました。ここでも担当検事宛の要請文を読み上げ、「検察は隠している証拠を全部出せ」と強く申し入れました。
 高裁でも検察でも、対応者は機械的で人間らしさはまるで感じられませんでした。でも参加者は負けずにこれからも要請行動をたたかい続けていくことを確認しました。




 この後、茨城に帰り、土浦市で会の忘年会を行いました。




●狭山事件再審要求 高裁・高検への要請行動に参加を
 2015年11月12日(木) 


 狭山事件の事実調べ・再審開始と、すべての証拠の開示を求めて、会では次のように東京高裁と東京高等検察庁への要請行動に取り組みます。
 どちらも担当官が対応することになっており、要請文や署名も提出したいと思います。多くの皆さんの参加をお願いします。


■日時  12月11日(金) 

■集合場所
  弁護士会館 1階ロビー
  (東京都千代田区霞が関1-1-3
   日比谷公園・霞門前)

■行動予定
・10:30 弁護士会館に集合・打ち合わせ
・11:10 東京l高裁への要請(30分)
・12:00 石川一雄さんへの激励(高裁前)
・13:30 東京高検への要請(30分)
・14:30 終了

※できるだけ、東京高裁と検察に提出する「要請書」を用意してください。様式は決まっていませんので、それぞれの思いや意見を自由に書いてもらって結構です。
 あて名は、東京高裁は「東京高裁刑事第4部 植村稔裁判長」、検察は「東京高検 狭山担当検事」です。



●「水戸・狭山事件と人権を考える会」を立ち上げ
 2015年11月5日(木) 


 11月5日、水戸市内の教会で、『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映会の反省会を開きました。
 そして、これから水戸市でも狭山事件の再審開始を求めて取り組んでいこうということで、「水戸・狭山事件と人権を考える会」を立ち上げることにしました。

共同代表は、
 山本隆久(日本基督教団水戸中央教会牧師)
 金 光男(茨城大学教授)    
  のお二人です。

 今後の活動として、狭山事件の学習会や現地調査、署名活動をはじめ、他のえん罪事件や在日外国人の諸問題など、様々な人権問題にも取り組んでいくことになりました。








●水戸上映会の反省会を開きます
2015年11月3日(火) 


 水戸上映実行委員会では、映画講演会の反省会と、これからの取り組みをどう進めていくかを話し合います。終了後には打ち上げも予定しています。
 ぜひご参加ください。

■日時  11月5日(木) 午後6時

■場所  在日大韓基督教会・水戸教会 (水戸市大工町2−6−27)




●石川一雄さんの10・31アピール
2015年10月31日


 石川一雄さんからのアピールです。
「10・31(10月31日)」は、1974年のこの日に、東京高裁・寺尾裁判長が「無期懲役」の有罪判決を下した、許せない日です。この寺尾判決が、今も「確定判決」となっています。今年で寺尾判決から41ヶ年。石川さんは、寺尾判決を糾弾し、再審にかける思いを発しています。



10・31メッセージ

 寺尾判決が如何に惨い仕打ちであったか、その後に影響し、再審も儘ならないとあってみれば、尚更怒りが込み上げてき、寺尾判決こそ差別と冤罪の元凶と罵りたい思いに駆られ、憤りを禁じ得ません。今日も此処に各地から10.31寺尾不当判決41カ年糾弾決起集会にご参集頂いた皆さんに対し、心深く感謝を申し上げると共に、三者協議も大詰めを迎えていることもあり、皆さんのさらなるご支援をお願いすべくペンを走らせています。
 

そもそも10年に及んでの証人調べや、弁護団のご努力で、私の無実を明らかにしたにも関わらず、真面目に検討すらせず、初めに結論ありきというまったく乱暴極まりない判決であったわけです。


 闘いは長期化を呈している中で、2009年、門野裁判長が三者協議の必要性と同時に8項目にわたって証拠開示勧告をしてくださったことを知った時ほど心強く、自分の心も活性化し、更には、翌年5月、私が逮捕された当日に書いた上申書が検察庁より開示された時、書かされたことすら覚えていなかった私にとって、驚きと同時に「今度こそ」の高揚感がありました。検察庁が47年間も隠さねばならなかった訳は、脅迫状の字と異筆であったからで、私は、これで再審開始になるものと確信的に思ったのも事実です。


 当時、厳しい部落差別の現実の中で教育を奪われ、私と同じような環境に育った多くの人が、書くことに大変な重圧を感じておられた筈です。書くということの精神的な負担は、必要な教育を受けてきた人には想像もつかないほど大きく、従って仮に他人に何かを伝えようとする時は、直接言うか、電話で済ます筈だからです。
 況してや自分の気持ちや、意志を文字で表現しようなんて、考えも及ばないし、第一文字を知らない人が「脅迫状」を書くなんて頭の片隅にもないはずです。そういう意味で私の上申書と脅迫状を比較すれば、異筆であることは一目瞭然です。ですからこそ、最早、事実を客観的に解明するには再審を開始し、法廷の場で明らかにするよう皆さん方に声を裁判所に届けて頂きたいのであります。


 特に犯人であれば、当然についている筈の私の指紋が、脅迫状をはじめどの証拠物にも着いていないことに対して、誰でもが抱く合理的な疑問も指摘し、これらの点も徹底的に究明することも完全無罪を勝ち取る意味において重要かと存じます。


 法と正義、人権を守るべき立場にある裁判所であってみれば、私の訴えを真摯に受け止め、弁護団より提出された証拠物など精査され、一日も早く私を自由の身にさせて頂きたく願うばかりであります。
 この第三次再審で決着できますよう更なるご協力を下さいますよう心からお願い申し上げるとともに、石川一雄の不退転の決意と皆々様に衷心より謝意を表してご挨拶に代えさせて頂きます。本日は本当にありがとうございました。
 2015年10月31日
寺尾不当判決41カ年糾弾・狭山再審要求集会参加者ご一同 様
                                               石 川 一 雄



●水戸市の上映会に265名の市民が参加

2015年10月12日(月) 


 水戸市実行委員会の主催による映画講演会が、茨城大学の講堂で開かれ、265名が参加して大成功しました。参加者は茨城大学の学生、教会などの宗教関係者、水戸市などの市職員、自治労を中心とした労働組合、教育労働者、民生委員、チラシを見てきた市民など幅広い方々です。
 水戸市でこれほど大規模な狭山集会が開かれたのは初めてで、画期的な取り組みとなりました。石川さんは無実だ! 狭山再審を開け! という声は茨城の中に広まっています。この成功をふまえて、さらに狭山事件の真相を訴えるべく、県内各地で草の根のとりくみをすすめていきます。


◆司会の矢田部礼子さん(i 女性会議茨城)が開会を宣言





◆茨城の水産加工工場で働いているインドネシア人労働者の合唱団が、すばらしい歌声を披露してくれた。




◆参加者





◆共同代表の山本隆久さん(日本キリスト教団水戸中央教会牧師)が、主催者あいさつ。なぜ狭山に取り組むのか、狭山は私たちにとってどのような意味を持つのか、参加者に語りかけた。





◆狭山再審弁護団の河村健夫弁護士が講演。河村弁護士は、映画の前提となる狭山事件とは一体どのような事件だったのか、また現在提出している新証拠や、検察による証拠隠しの状況などを話された。参加者からも「とても分かりやすく、狭山事件のことがよく理解できた」などの感想が多く寄せられた。




◆参加者






◆『SAYAMA 見えいない手錠をはずすまで』上映の後、布川事件で再審無罪をかちとった桜井昌司さんから、特別アピールを行っていただいた。
 桜井さんは石川一雄さんと獄中で一緒に過ごした仲で、布川事件や袴田事件の再審開始と狭山事件を対比させながら、「狭山再審は非常に難しい闘いだが、石川さんは無実であり、一日も早く無罪をかちとってほしい。ともにたたかう」と力強い訴えをされた。





◆「これからの活動の提起」を、共同代表の金光男さん(茨城大学教授)が行った。金代表は、これから水戸でもさらに狭山にとりくんでいこうと訴えた。





◆最後に、「狭山事件と人権を考える茨城の会」代表の沼尻かつえさんが、水戸でも会にて一緒にとりくんでほしいと訴えた。





◆参加者





◆ロビーで狭山パネル展に見入る参加者の家族






●守谷市の狭山映画上映会に61名の市民が参加

2015年10月1日(木)


 『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』守谷上映会が、9月27日に守谷市文化会館で行われ、市民ら61名が参加しました。
 守谷市で狭山の大衆的な取り組みは初めてです。共闘組織などもない守谷市で、こんなに多くの市民が参加してくれたことは、狭山事件の真相を草の根的に広げていくにあたって、大きな意義があると思います。

 初めて参加した市民から、「映画でも出ていた部落差別について、まったく学習しことがなく分からない。まわりで部落を悪く言う人もいるが、どのような問題なのか教えてほしい」という質問も出されました。





●水戸市での狭山映画上映会に参加を

2015年9月24日(木) 


水戸では、『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映水戸実行委員会がつくられ、上映に向けた準備が進められています。
 実行委員会の共同代表には、
 ・山本隆久さん(日本キリスト教団水戸中央教会牧師 電話090-1216-7172/ 029-221-3256)
 ・金光男さん(茨城大学教授)
がなりました。

河村健夫弁護士(狭山再審弁護団)の講演、桜井昌司さん(布川事件の元被告で再審無罪)からの特別アピールもあります。ぜひご参加下さい。

当日の日程などは、次のようです。

<スケジュール>
10月12日(月・祝日)
 1:00 在茨城インドネシア人労働者の歌と演奏
 1:30 河村健夫弁護士(狭山再審弁護団)の講演
 2:10 映画『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映
 4:00 桜井昌司さん(布川事件の元被告)からのアピール

<会場>
 茨城大学・講堂 (水戸市文京2−1−1)
           (駐車場あり)

<参加資料代>
  500円








●守谷市・水戸市での狭山映画上映会について
2015年8月17日(日) 

 映画『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映会の日程・場所が決まりました。上映会の成功に向けて、皆さんのご協力をお願いします。


○守谷市上映会
  ・期日 9月27日(日) 午後2時
  ・場所 守谷市文化会館(守谷市久保ヶ丘1-19-2 アピタ隣)


○水戸市上映会
  ・期日 10月12日(月・祝日) 午後1時
  ・場所 茨城大学内
  
   詳しくは、追ってお知らせします。


●狭山市で現地調査に取り組みました
2015年7月12日(日) 

 7月12日、狭山市で現地調査に取り組み、15名が参加しました。案内は、部落解放同盟埼玉県連の小野寺書記長が行ってくれました。
猛暑の中でしたが、現地調査は初めての人も多く、有意義な取り組みとなりました。


@狭山市駅に集合

   


当時は「入間川駅」だった。案内役の小野寺さんから、当日の石川さんの本当の行動などについて説明を受けて、いざ出発。


A荒神様



5月1日当日はこの荒神様お祭りが行われ、大勢の地元の人たちがいた。判決では、石川さんは荒神様のわきをブラブラと歩きながら「出会い地点」に行ったとされているが、だれも石川さんを見た人はいない。


BX型十字路(出会い地点とされるところ)



ここで石川さんは、自転車に乗ってきた善枝さんと出会い頭に呼び止めて、「誘拐」したとされている。女子高校生が見知らぬ男に声をかけられ、自転車をはさんで、並んで歩いて行くような「誘拐」などあり得ない。


C教科書、カバン発見現場



何度も大がかりな山狩り捜索が行われた場所から、被害者のものとされる教科書、カバンが発見された。教科書はきれいに並べられた状態だった。
現在、開示された石川さんの自白調書を分析して、カバンが自白に基づいて発見されたのではないという新証拠が出されている。


D雑木林(殺害地点とされるところ)



今は駐車場になっている。すぐ隣の畑で小名木さんが農作業をしていたというが、行ってみると本当に目と鼻の先であることが分かる。ここで当時警察が行った現場検証の8ミリフィルム、ルミノール検査(血痕検査)報告書は、裁判所が開示勧告をしたにもかかわらず、検察は「見当たらない」として開示していない。


E石川一雄さん宅のカモイ(万年筆が出てきたところ)

   


石川さん宅は火事で焼けたが、そっくりそのままの形で復元されている。みんなでカモイを見る。「背の低い人には見えにくい」などという判決のデタラメさがはっきりと分かる。


F石川さん宅の前で





●感想文(沼尻かつえ)

 気温30度を越す暑い日でしたが、7月12日の狭山現地に沢山のご参加ありがとうございました。25人の仲間と、狭山について改めて勉強出来ましたことは、私にとって大変意義深いものでありました。
 これまで、殺害現場とされる雑木林で、被害者の頭の傷から沢山の血液が流れたはずなのに、ルミナール反応(血痕反応)がない、と勉強してきました。でも実感が感じられなくて、その雑木林が本当の殺害現場だと思い込んでいて、ねつ造されていた現場とは思いませんでした。それでせめて殺害された善枝さんの霊を慰めたいと、殺害現場に手向けるために花を持参したのですが、その現場(雑木林)も、警察によって作られた架空の現場だと聞いて、あらためてショックでした。
 万年筆が置かれたとされる石川一雄さん宅の鴨居も、車いすに乗った私にも万年筆は見えましたので、二審の寺尾判決は間違いです。こんなでたらめな捜査をした埼玉警察と寺尾裁判長は、残された家族、石川さん、現地の人々に対しても、本当に失礼なことをしたと思いました。
 また、次回も、現地調査を行いたいと思っています。その時もぜひともご参加下さいますように、お願いいたします。




●守谷、水戸の映画上映会の日程が決まりました

2015年7月9日(木) 


●7月9日、土浦一中地区公民館で定例会を開き、今後の取り組みなどを話し合いました。

●映画『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映会については、次の決まりました。

  @守谷  9月27日(日) 午後  
         守谷市文化会館(守谷市久保ヶ丘1-19-2)

  A水戸  10月12日(月・祝日) 午後2時
         場所未定

  守谷市、水戸市の周辺の皆さんには、ぜひそれぞれの実行委員に参加していただけるよう、ご協力を
  よろしくお願いします。

●次回の定例会は、8月12日(水)午後6時から、土浦一中地区公民館で行います。




●東京高裁の担当裁判長が交代しました
2015年7月1日(水)

狭山事件の再審を担当している東京高裁第4刑事部の裁判長が、人事異動により交代しました。
 新しい裁判長は、植村稔裁判長です。

・植村裁判長は、これまで東京高裁判事や、検事、最高裁刑事局長を歴任してきた裁判官で、最高裁判所長官代理者として衆議院法務委員会などで答弁している人です。

・経歴からすると、狭山事件の再審にとってプラスになるような裁判官とは思えません。さらに気を引き締めて、植村裁判官に、法と正義に基づいて狭山事件の真実を明らかにせよ、事実調べと再審を行え、と迫っていきましょう。



●第3回実行委員会を開きました

2015年5月30日

 会では、5月30日に土浦一中公民館で第3回実行委員会を開きました。
 まず。テレビで放送された「ある弁護士の闘い」を鑑賞し、この間の取り組みの報告と再審の現状が報告されました。
(1)続いて、『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』の県内各地上映会の取り組みについて話し合いました。計画
 としては、
  9月に守谷市
 10月に水戸市
 11月につくば市
 また利根町、牛久市、古河市でも開催していこうということになりました。


(2)会として、東京高裁・河合裁判長あてに、「狭山再審開始を求める署名」に取り組んでいくことを決めました。
 12月に予定している、東京高裁に対する要請行動に提出します。(12月6日集約)
 署名用紙は、連絡していただければお送りします。ぜひ皆さんの協力をお願いします。

 




●7月12日に狭山現地調査を行います

2015年7月12日

 来たる7月12日(日)に、埼玉県狭山市の事件現場に行き、現地調査に取り組みます。
多くの皆さんの参加をお待ちしています。
 ※参加される方は、会まで連絡をお願いします(昼食弁当を用意します)。

(1)行き方や時間

西武新宿線・狭山市駅西口(10:30集合、11:00出発) 

※それぞれ車を乗り合わせて行くようにします。行く手段でお困りの方は、連絡して下さい。

(2)まわるコース

・狭山市駅(事件当日、石川一雄さんは駅で下車して雨宿りしていた)
・荒神様(お祭りが行われていた神社)
・X型十字路(石川さんと被害者が出会い、誘拐の出発点となったとされる場所)
・農道(石川さんと被害者が並んで歩いたとされる道。当時のまま残っている)
・殺害したとされる場所(元は雑木林)
・死体が発見された場所
・石川一雄さん宅(火事で焼失したが、元通りに復元。石川一雄さんがご在宅なら簡単な交流)
・その他

(3)参加費  500円(弁当代)


  

     (石川一雄さん宅のカモイ   2013年)           (出会い地点とされる所   2013年)



●5月28日に第23回三者協議が開かれました

2015年5月28日


 5月28日、東京高裁で河合裁判長、検察、弁護団による三者協議が開かれました。その主な内容をお知らせします。 (「ストーンリバー」から)


(1)第23回三者協議の内容について

@開示された証拠物リストにもとづいて、弁護団は、筆跡資料や航空写真ネガなど5点の証拠物の開示を求めていた。前回の三者協議で、検察は航空写真112枚を開示したが、今回ほかの証拠物については、「石川さんの筆跡が存在するものはなく、プライバシー侵害のおそれがあり、必要性・関連性がないので開示すべきでない」とする意見をくりかえし、開示を拒否してきた。
 また東京高検以外の浦和地検や埼玉県警などに保管されている証拠物リストの開示について、検察は「東京高検にある証拠物がすべてであるので、その他のリストは開示しない」としている。

A裁判所は、東京高検保管のリストによって、あることがはっきりした客観的な証拠物は開示してほしいという立場を表明し、プライバシーの問題があるというのであれば、裁判所に提出し、裁判所が判断するという方法を提示し、検察官は検討するとした。
 また、浦和地検や埼玉県警などで作成された証拠物リストの開示について、裁判所も検討するという姿勢だった。
 殺害現場とされる雑木林の血痕検査報告書や8ミリ撮影報告書など、当然あるべきものが「不見当」として提出されていない。「不見当」と言うならば、なぜないのかその合理的理由を説明すべきだ。東京高検以外の地検や警察の証拠物リストを出すことがその説明になるので、検察官からまず裁判所に地検や警察のリストを提示してほしいと弁護団から強く求め、裁判所は検討するとした。

B今後、リストで明らかになった証拠物の開示、また東京高検以外の証拠物リストの開示を強く求めていくことが必要だ。
 次回の三者協議は7月下旬に開かれる。

(2)第22回三者協議以降の動きについて

 @事件当時、石川さん宅から家宅捜索の際に押収した証拠物について、弁護団は、石川さんに返すよう東京高検に請求し、4月24日に13点の証拠物が還付された。
 また検察官は手拭いに関して初期の捜査報告書2点を5月25日付けで開示した。(開示された証拠は180点に)

A弁護団は、5月21日に、自白の「秘密の暴露」とされた車の追い越しに関する新証拠17点および万年筆に関する新証拠2点を補充書とともに提出した。(新証拠は174点に)


※三者協議では、証拠開示をめぐる攻防が続いています。東京高検は追いつめられて、1月に「証拠物リスト」の開示に応じざるをえませんでしたが、それによって明らかになった証拠そのものの開示については、相変わらず「プライバシーの問題がある」とか「不見当(見当たらない)」などといって開示を拒否するという、卑怯な抵抗を続けています。
 東京高裁・河合裁判長も、検察に開示を「促す」といったアイマイな姿勢で、証拠開示は許されないとして開示を勧告するといった明確な態度は示していません。
 検察の証拠開示を許さない、東京高裁は証拠開示勧告を出せ、事実調べ・再審を開始せよ、石川さんは無実だ、という声を、ますます大きく上げていきましょう。




(東京高裁の前で再審開始を訴える石川一雄さんと早智子さん)




●2015年5月23日 石川一雄さんのアピール

2015年5月23日


 今年5月23日は、石川一雄さんの不当逮捕52ヶ年の日です。全国各地で、不当逮捕を糾弾し、狭山事件の再審を求めるとりくみが行われます。
 この日に向けた石川さんのアピールが出されましたので、掲載します。


5・23 メッセージ

 不当逮捕52ヵ年糾弾、再審実現決起集会にご参集を頂いた全ての皆様に心深く感謝いたします。

 振り返ると52年といえば、事件発生時に生まれたお子さんが52才であり、半世紀以上も経てば狭山事件の現実を知らない人が多くて当たり前であるとはいうものの、この間の私は「殺人犯」のレッテルを貼られ、無実を訴え続けているわけですが、二審・寺尾の確定判決から40年以上が過ぎた今、闘いも大きく前進しています。

 取り分け、2009年、東京高裁・門野裁判長の証拠開示勧告以来、検察から開示された証拠はすべて私の無実、あるいは警察当局によってのねつ造や、改ざんが疑われるなど、真摯に精査すれば、確定判決の誤謬(ごびゅう)が裁判官自身にも十分にわかるはずです。22回も三者協議を重ねても、未だ結論を出せない司法に対し、不信の念を禁じ得ませんが、河合裁判長が必ずや英断をされることを確信しています。

 ご承知の通り、再審裁判の開始は「新証拠が発見されたとき」に実現します。この間の再審事件を見れば、現在の裁判所は、真相を究明し、積極的に無辜(むこ)の救済をしようとする姿勢を感じ取れないのが残念でなりません。もっともだからこそ、どれ程の新証拠が発見されようとも、危機感があればこそ、私は皆さんにもっと多くの声を裁判所に届けて頂きたく、精力的に全国各地に訴え、お願いに回っている訳です。

 第三次再審こそ絶対に無罪を勝ち取らねばなりませんし、今こそチャンスなので、どうか皆さんも一層のご協力を下さいます様、心からお願い申し上げます。
 何とか今年中に事実調べ、再審開始決定が出されるようにと願っていますし、そのためにも私は悔いを残さぬよう、今後も汗をかき、全身全霊をかけて闘い続けて参る決意でいます。
皆様と共に一日も早く狭山の「よき日」を迎え、喜びを共有したいと念じつつ・・・・。


 2015年5月
                                                  石川 一雄
不当逮捕52ヵ年糾弾 狭山再審要求集会 ご参加一同様





●狭山要請行動に沼尻代表が参加しました
2015年5月1日


(報告と感想)
狭山事件の再審を求める要請行動に参加して



 ゴールデンウィークの最中、5月1日に、部落解放同盟全国連婦人部を中心とした東京高裁、検察庁への要請行動に、私達(沼尻好夫、かつえ)は、参加させていただきました。
 午前11時からの検察庁の要請行動には、電車の車両点検により遅刻してしまい残念ながら参加できませんでしたが、午後からの裁判所要請行動には参加できました。
 東京高裁の前で「石川さんは無実だ」のシュプレヒコールをあげた後、要請行動に入りました。私は、何回か要請行動に参加していますが、今回の要請は婦人部の要請だけに、迫力満点でした。
 前半は要請の意義の説明。「早く事実調べ、再審を開始せよ」と迫りましたが、対応した事務方は、「皆さんの要請を聞いて担当部にお伝えするのが、私の仕事です」を繰り返すだけ。この血の通わないような事務方に対して、こちら側も怒りで声が大きくなります。
 私が気になったのは、裁判長が要請書に目を通さないかも知れないことが分かったことです。こんなに一生懸命要請した内容が、裁判長の目に入りもしないかもしれません。本当に怒りを覚えました。要請の後半は要請書を提出しました。私も「狭山事件と人権を考える茨城の会」から代表として要請書を提出しました。
 いつもは30分だけで強引に終了させられてしまいますが、この日は婦人の迫力で、1時間の要請ができました。次回も時間の許すかぎり要請行動に参加したいと思います。
 夫の好夫は、「あちら側も少しづつ変わりつつあるのかもしれない。30分が1時間に伸びたように」と、感想を述べていました。





【提出した要請書】


東京高等裁判所 河合裁判長殿

狭山裁判の全証拠開示と再審を求めるについての要請書



毎日国民のためにご尽力いただきありがとうございます。
 私たちは昨年9月に、ドキュメント映画『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』の上映会を茨城県土浦市で開催し、思いがけなく400名近くの参加者に意を強くして、『狭山事件と人権を考える茨城の会』を立ち上げました。私は、その代表を務めます沼尻かつえと申します。
 映画会に参加していただいた多くの方が「狭山事件」に関心があり、裁判所と検察庁への怒りと批判の声をたくさん聞きました。
 今年の3月15日には、つくば市で狭山事件についての勉強会を行いましたが、小規模の勉強会にもかかわらず40名の参加者がありました。もともと茨城県の土浦、つくば地区は、狭山事件には関心の薄い地区でありましたが、昨年の映画会を足掛かりに興味を持つ人達が多くなりました。
 狭山事件に関わる事により、差別問題、人権問題、部落問題などに目を向け、えん罪事件は誰によって引き起こされるかを、これからの課題にして行かなければならないと思っています。
 えん罪事件への私の疑問点に基づいて、河合裁判長に以下の点について要請いたします。
一、石川一雄さんに対して事実調べを行うこと。
一、差別裁判を中止して再審を行うこと。
 最後に、狭山事件をないがしろにすることは、私たち国民をないがしろにすることだということを肝に銘じていただきたいと強く希望して、私、沼尻かつえの要請書といたします。

 2015年5月1日
                                     茨城県つくば市 沼尻かつえ (狭山事件と人権を考える茨城の会代表)




●映画『狭山の黒い雨』上映&青木弁護士講演会が開かれました
2015年3月14日

 3月14日、つくば市の[市民ホールやたべ」で、映画『狭山の黒い雨』上映と狭山弁護団の青木孝弁護士による講演に取り組み、市民41名が参加しました。
 映画『狭山の黒い雨』は、1973年、狭山事件の取り組みが始まった初期に作られた映画で、須藤久監督の作品。知る人ぞ知る名作です。ドラマですが、事件の経過を忠実に再現し、特に石川一雄さんが不当にも別件逮捕され、拷問と甘言によって「犯人」に仕立て上げられていく取り調べの場面は、あらためて怒りがわいてきます。

 青木弁護士の講演では、まず石川さんの無実をしめす証拠の数々を具体的に学習しました。
 部落差別の中で学校にも行けず、ほとんどひらがなも書けなかった石川さんがムリに書かされた稚拙な文と、犯人が残した脅迫状の文章を比較して、誰の目にもその筆跡が違うことを示され、検察や裁判所だけが「筆跡は同じだ」と言って犯人の根拠にしていること。
 万年筆も被害者の物ではないこと。
 その他、多くの無実の証拠について学習しました。(「狭山事件とは」の項を参照してください)
 また検察が数多くの証拠を隠し持ち、開示していないことを批判。現在行われている裁判所、検察、弁護団による三者協議を通じて、証拠の全面開示、事実調べを迫っていきたい、そのためには「石川一雄さんは無実だ、再審を開け」という声を大きくしていくことが非常に大事だと訴えられました。

 最後に「脱原発ネットワーク茨城」の小川仙月代表から連帯のあいさつをいただきました。小川さんは、原発が、東北や北陸の人口も少なく生活も困難な地方に集中的に建設され、そこでつくられる電気は東京や大阪の大都市が使うという差別構造の上に成り立っていることを批判し、すぐにすべての原発を廃炉にしようと訴えられました。

   




●『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』&小室等コンサート in 土浦
2014年9月21日


 映画上映2回とコンサートというハードスケジュールでしたが、のべ375名の市民が参加してくれました。
 狭山事件については名前しか知らないという参加者も多く、「石川さんの無実がよく分かった」「無実の証拠についてもっと勉強する必要がある」などの意見が多く寄せられました。また「何十年も前に、狭山の運動に関わったことがある」という参加者には、映画は新たな感動を呼び起こすものでした。

 小室等さんは、この日のために谷川賢作さんらと特別に「SAYAMAバンド」を結成し、すばらしいコンサートを実現してくれました。

 布川事件で再審無罪判決を勝ち取った桜井昌司さんも参加してくれ、警察や検察の過酷な取り調べで、以下に無実の人間がウソの「自白」に追い込まれていくのかを、自分の体験から話していただきました。また獄中で作った歌も披露され、CDは完売でした。映画を制作した金聖雄監督も参加してくれました。
 石川一雄さんからは、熱いメッセージが寄せられました。

 この映画&コンサートは、茨城県で取り組まれた初めての大々的な狭山集会で、私たちの会が発足する母体となりました。




【石川一雄さんからのメッセージ】

茨城上映実行委員会の皆様

 この度は茨城で初めての「SAYAMA]映画を上映してくださり、誠にありがとうございました。
 狭山の裁判も今大きな山場にあります。このような時に茨城で映画が上映され、多くの人に観て頂くことは大きな喜びであります。この日、小室等&谷川賢作SAYAMAバンドが出演、また布川事件の桜井昌司さんも友情出演して下さるとお伺いしています。
 感謝に堪えません。どうか皆様によろしくお伝えください。メッセージお送りします。皆様方に心から感謝しつつ。


 映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」を観に来ていただいたすべての皆様へ

〜冤罪を訴え駆け抜け50年 未だ見ぬ春は近きと信じ〜

 この度は「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映会開催にあたり、多大なご尽力を賜り誠にありがとうございました。
 茨城県での上映会は初めてのことであり、本当にうれしく感謝にたえません。3月27日、静岡地裁で、袴田事件の再審開始が決定が出され、同日、袴田巌さんは48年ぶりに釈放されました。決定内容は「重要な証拠が袴田さんのものではなく、捜査機関にねつ造された疑いがある」「拘置を続けることは著しく正義に反する」と言及しました。信念と正義感あふれる決定を聴き、ただただ感動しましたし、歴史に残る決定に「次は狭山だ」との思いを強くしました。

 袴田巌さんとは「死刑囚」として東京拘置所で6年ほど一緒でした。
 袴田事件ではこの間600点の証拠開示がされ、それが再審開始決定への道をひらきました。狭山事件は現在136点の証拠が開示されています。証拠隠しや、ねつ造がえん罪を生んでいることは、この間の再審無罪判決や厚労省の村木さんの事件でも明らかです。狭山事件の解決には何としても証拠開示と事実調べが不可欠です。袴田事件では3月31日、検察が抗告しましたが真実はきっと明らかにされます。

 私の狭山事件も万年筆のねつ造、手拭の本数の改ざんが明らかになっているので、10月に予定されている第20回目の三者協議において、裁判官も踏み込んだ判断を出すのではないか、と期待しております。検察が隠し持つ全証拠を開示させる事に重点をおけば、たちどころにえん罪が明らかになるはずです。そのためにも、私も楽観せず、再審開始決定が出されるまでは、さらに気を引き締めて訴え活動を展開して参る所存であります。
 真実は一つであり、何年たっても不変ですので、私は今度こそ狭山事件の再審開始決定が出されるものと確信しております。
 どうか皆様方も、私、石川一雄が一日も早く自由の身になれますよう今後とも可能な限りお力添えを賜りたく、再度お願い申し上げます。
 本日の上映会にお越し頂いた皆様をはじめ、私の狭山事件に関心を寄せて下さっているすべての皆様に心から感謝申し上げます。

                                                       2014年9月21日  石川 一雄



      

      (司会の坂本繁雄・事務局長)                (布川事件の桜井昌司さん)



【桜井昌司さんのメッセージ】

「狭山事件への思い」

 私の布川事件は、死刑・無期事件では、戦後7件目の再審無罪事件として解決しました。でも、日本には、今でも沢山の冤罪事件があって、多くの仲間が「無実」を訴えて、再審を求めて闘っています。その代表的な事件が、狭山事件です。

 狭山事件で犯人にされた石川一雄さんとは、東京拘置所と千葉刑務所で20年近く一緒に過ごしました。

 冤罪に付いて話すとき、良く「桜井さんは、どうして無実の人を見抜くんですか」と聞かれますが、私は、私は自分の体験から、簡単なことだと話します。

皆さんは、「人殺しをしていない」と、訴え続けることの困難を理解出来るでしょうか。それは嘘を語る人はいます。でも、何年も、何十年も「やっていない」と、嘘を語り続けることなど、人間には不可能です。「私は無実です」と、もし変わりなく同じ訴えが出来るならば、それは無実だからです。やっていないからです。

石川一雄さんの闘いを描いた映画「SAYAMA・見えない手錠を外すまで」には、石川一雄さんの日常生活が描かれていますが、早智子夫人との会話も含めて、総てに「無実の姿」が溢れています。冤罪に巻き込まれた、その運命に屈せずに、前向きに生きている石川一雄さんを見れば、誰にでも、彼の無実は理解できることでしょう。

今、袴田事件が再審開始決定となって、警察や検察によって作られた「でっち上げ証拠」が裁判所によって指摘されましたが、狭山事件は、その袴田事件にも勝るほど、沢山の証拠がでっち上げられております。

私は、冤罪仲間として、同じ釜の飯を食べた仲間として、石川一雄さんの冤罪を1日も早く明らかにしたいと思って応援しています。

一人でも多くの皆さんに、ぜひ映画を見て頂きたいと願っております。



    


【茨城青い芝の会代表 里内龍史さんの感想文】

この度の「見えない手錠をはずすまで」の上映会と「小室等と狭山バンド」のコンサートは成功のうちに終わり、興行的にも黒字で本当によかったです。

 私の実家は浄土真宗本願寺派の寺で、私の父が同和教育の教師をしていました。そういう家庭環境と滋賀という地域性が部落に対する問題意識を持ちやすかったのです。私の若い頃、1970年代はメディアも部落問題の自主規制がなかった時代で、ラジオの深夜放送で部落問題が話題になったり、岡林信康のフォークソング「手紙」や「チューリップのアップリケ」が流れていた時代でした。だから部落に対する問題意識も持てた時代でした。

 私と狭山事件との出会いは、私が滋賀県にいた頃、ボランティアの滋賀大学の部落解放研の学生から「造花の判決」という映画会をやるので「里内よ来い!」と言われて行ったのがはじめてでした。その後、狭山事件の署名を手伝ったり、夜行列車に乗って東京の日比谷公会堂の狭山糾弾集会に参加しました。

 その時代はフォークソングの全盛期で小室さんは「六文銭」というグループのリーダーで「面影橋から」という歌はいい歌だからレコードを買って聞いた記憶があります。上条恒彦さんと歌った六文銭の「旅立ちの歌」は、青い芝が広まったきっかけを作った映画「さようならCP」の挿入歌です。

 だから僕にとっては青春の一ページです。このたびのイベントは全国連の井橋さんから話があったときに懐かしいという感覚で関わりました。私の体調が悪く、あまり動けなかったことは、とても深く反省しています。

 半世紀も長きに渡って自らの無罪と部落解放をかけて訴えている石川一雄氏に敬意を表します。それとともに石川一雄氏の訴えを聞かず、再審をしない司法権力に怒りを感じます。

 さてこのたびのイベントは二つのポイントがあったと思います。それは一般的な冤罪と部落問題です。一般的な冤罪は、布川事件の桜井昌司さんの講演で、参加者に問題提起ができて良かったと思います。部落問題の方は、一般的な冤罪に隠れてそれほど見えて来なかったと思います。部落差別はなくなったと言われている中で、あの会場に来た人達は部落とは何か、自分は部落の人達を差別するかもしれないという意識を持っていない人達が、ほとんどだと思います。そういう意味で茨城県連の人達に部落差別体験談を話してもらえば良かったと思います。 






●河村弁護士を招き、狭山事件講演学習会開く
2014年8月24日



 「狭山事件と人権を考える茨城の会」を立ち上げ、まずは狭山事件そのもののを学ぶために学習会を行いました。
 つくば市の亀城プラザで開いた学習会では、最初にテレビで放映された狭山事件の特集番組を鑑賞。続いて、狭山弁護団の河村健夫弁護士が講演しました。
 河村弁護士の話は、被差別部落をねらい撃ちした差別捜査によって石川一雄さんが不当逮捕されたこと、争点となっている無実の証拠、検察が自分たちに都合のよい証拠だけを出して無実につながる証拠は隠し続けていること、現在の第3次再審ではじめて三者協議(裁判所、検察、弁護団)が開かれ攻防をくり広げていることなど、狭山事件を理解する上でとても分かりやすく勉強になりました。

 参加者からは、「自分の家族も、身に覚えのないことで警察に呼ばれていじめられた」など、狭山事件と結びつけて不当な人権侵害を告発する意見も出されました。
 会から、「9月の『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』上映&小室等コンサートを成功させよう。これから茨城でも、石川一雄さんは無実だ、狭山事件の再審を行え、という声を私たちが作っていこう」と呼びかけました。